東京オートサロンは、各車メーカーからアフターパーツメーカー,ショップ等が新製品発表の場として幕張メッセに集まり、全国からたくさんのファンが来場するある車業界最大のイベント。 エンドレスは2012年に引き続き「NAPAC合同ブース」にて『エンケイ』、『キャロッセ』、『ブリッド』と共に出展となりました。
会場ブースでは、ブレーキパッドはもちろん、キャリパー、ディスクローター、サスペンション等、各部所が力を合わせ新製品を企画し制作,展示し多くのENDLESSファンにアピールできました。
お立ち寄りいただきまして、ありがとうございました。
【写真】エンドレスブースの様子
中でもエンドレスブースで1番目を引き、注目だったものは、展示車両の1台
『HONDA N360』!!通称『Nコロ』
なぜ??『エンドレスがN360??』って思う方もたくさんいますよね! そこで、今回この車両作成についてちょっとレポートしてみたいと思います。
この車両は約2年前、エンドレス花里代表が松本市のカーショップ『トップラン』で購入。約40年前の車両はN360の最終型「NⅢ」というモデルでカラーはイエローでした。当時の車両の状態を中村メカは「車両の状態は良く、エンジンは一発で始動、外装がキテるのはまぁ仕方ないかな・・・・・」
とOLDファンにはたまらない1台でした。
普段であれば、花里社長の自宅ガレージに置かれ、自身が趣味でちょこちょこ楽しみながらレストアする程度。
実際自分はオートサロンプロジェクトが発動するまで見た事はありませんでした。
さて、2012年度も終わりに近づく10月下旬、オートサロン準備も始まってきます。展示車両は話題の軽自動車『HondaN-ONE』に決まり、こちらは納車待ちとなりました。
ここで「花里社長」のアイデア炸裂!
『N-ONE飾るならベースとなったN360並べてやろうよ!!それもエンドレスの技術を詰め込んで思いっきりカッコよく作ろう!!』
というこの一言から『N360復活計画』が始まったのです。
しかし・・・まだまだレースもシーズン途中。しかもチャンピオン争いを最終戦まで繰り広げていたこともあり、メカニックたちも作業には取り掛かれません。時間だけが過ぎました・・・・。
レースも一段落した11月下旬、エンドレスレース担当「中村取締役」自らバラシに入ります。当時N360をチューニングしていただけあって、あっという間に車はバラバラ!! 「えっ??」って思うくらい簡単に作業していきます。
1番大事なボディーレストアは、いつもエンドレスのレース車両等を板金、塗装してもらっています地元佐久市の『志摩板金』に持ち込みました。オートサロンまで約一ヶ月半、こんな無理を聞いてくれるのは『志摩板金』だけ!!いつも感謝しております!
ボディーは安心して任せられる志摩さんに託し、こちらエンドレスサイドは細かい部分を作っていきました。なんといっても一番大変だったのは40年分の汚れをキレイにすること!アルミ部分は腐食し、スチールは錆びる。シートは破れ、ゴム類は破れてる・・・・。
なんせ古い車なので、純正部品が探せるかが問題でもありました。広報「吉田課長」がネット検索してみると、結構あるもので、いろいろパーツが見つかりました。
エンジンのガスケットキットやモール類などなど!!
これと並行して花里社長を中心に磨き作業が始まりました。各自、自分の仕事の合間や就業時間終了後、エンドレスレーシングガレージに集まり少しずつ作業しました。このような根気のいる仕事って、あまり詰め込んでやってしまうとイヤになったり情熱が無くなったりするのであくまでも「楽しく作業できる!」をベースに各々動きます。やはり社長自ら手を汚し、自分たちのペースで作業をさせてくれるため、工場のスタッフや営業のスタッフも自主的に作業に参加するようになってきました。もしかしたら、コレが社長の狙いだったのかな??
エンジンの磨きから、細かいパーツの塗装、メッキ部分は再メッキに。ダッシュボードやフロアマット等は東京の『スマイル』で張り替えを依頼。シートはやはり『BRIDE』リアシートは張り替えと着実に進んでいたものの、オートサロンまでは時間が無い!!
正直先の見えない状態で不安だったのは自分だけではないはず・・・・
ある日、N360のマフラー制作依頼のため、『アルトラック』を訪ね制作の依頼をすると「うちにもN360あるよ!」って。社長に報告すると、即購入!!こちらの車両は『NⅠ』というモデルでエンジンはツインキャブだし、フロント周りもスタイルが違う。花里社長が作りたかったのは『NⅠ』、急遽予定変更しこの2台を組み合わせ、『NⅠ仕様』を制作することになりました。
ちなみに・・・・2台目の『N360』を引き取ってきたのが12月の1週目・・・・
ホントに間に合う??
スタッフ全員不安でした。
基本、エンジン組み付けはレーシングガレージ「小林メカ」が担当し、NⅢブロックにツインキャブのNⅠヘッドを組む。その際、ピストンリングやガスケット類も交換しオーバーホールも同時に行う。赤く塗られたヘッドカバーがTYPE-Rを思わせるキレイなエンジンが組み上がった。
メンバーやドライブシャフト、燃料タンク等は、エンドレス協力工場でもある『ヤマウラ』で塗装してもらい、新品同様に!! 何処から見ても新品!再生に向けて部品がどんどん集まってきましたが・・・・肝心のボディーがまだ・・・・
まだまだ不安いっぱいでした。
このころになると作業を担当しているスタッフに異変が!!みんな手がボロボロ・・・ひどい赤切れで、手洗いしてても痛いし、すぐに出血・・・
しかし・・・ひたすら磨き続けてた花里社長の手は自分たち以上にひどく、情熱を感じるとともに、もっと頑張らなくちゃ!!って思わせてくれました。
さて、その頃他部署のスタッフ達はというと・・・・いろいろ苦しんでおります。
サスペンション担当のZEAL事業部では「神岡部長補佐」が中心となり【ファンクション】の制作にかかっていたのですが、問題だらけ・・・特殊な形のフロントストラットは長さも短く手持ちのユニットでどう合わせるか?さらに難題がリアショック。スプリングは板バネとなるため交換のみでいいのですが、ダンパーはボディ、タイヤとのクリアランスも少なく、神岡担当はシングルチューブの純正ダンパーを加工し制作する形で作業を進めた。
設計担当「小林次長」は14インチホイールに装着できる「マイクロ6ブレーキキャリパー」の設計、制作に入ります。多くのキャリパーを設計している小林次長には正直苦ではない作業でしたが、装着車両は『N360』!そう、『N360』は前後とも【ドラムブレーキ】です! ドラムブレーキ車をディスクブレーキに・・・・ナックルにつけるキャリパーステーの採寸から図面を書き、制作。ローターベルとホイールインセットを計算しボディー加工なども細かく指示してくれます。
サラッと簡単に書いてはいますが、エンドレスで最も重要な設計部署を支えるだけあって小林次長は夜な夜な会社に残り一人がんばってくれました。
このキャリパーにセットされるディスクローターは・・・・・「花里社長」こだわりの逸品!まぁこれについては後に触れていきましょうか!
12月20日、いよいよボディーの完成です!パールホワイトに全塗装されルーフはエンドレスブルーのキレイなボディーがエンドレスガレージに戻ってきました!! 12年度の残り仕事日数はわずかに9日(休みは30日から)
ここで緊急事態発生!! 作業の柱であるエンドレス「中村メカ」がマレーシア出張出発!!残った「小林メカ」を中心に作業が進んでいきましたが・・・・やはり厳しい状況です。
【写真】当日元エンドレスレースクイーンの浜田翔子ちゃんもN360を見に来てくれました。
12月25日、これまた出張に出ていた「中村取締役」が戻ってきたことにより作業はペースアップ!
内装関係は「中村取締役」,外装は自分,エンジンミッション周りは「小林メカ」と、自然に役割ができてくる中、「花里社長」は全ての作業をこなしながらも細かい部分の磨きや修正をしていきました。
どんなに忙しく時間が無くても、納得できないところはとことんこだわる。自分も何度か「もうこんな感じでイイか??」って妥協した部分を指摘されましたね。
嘘はつけないし、ごまかしはきかない。花里社長流のこだわり作業です!!
組み付けが進むにつれいろいろ間に合ってない部分も出てきます。部品の手配も並行しながらひたすら作業。車も徐々に形になり「中村メカ」が出張より戻ってきた12月28日、完成に向けみんなでラストスパートです!
最後の大仕事、『アルトラック』でのマフラー制作があるため、年明け1月4日には車両を『アルトラック』に運ばなくてはなりません。 外装を組み上げていくと、リアのオーバーフェンダーが1枚見当たりません??どこ行ったの??
今からじゃ間に合わないし・・・どうしたら??という状況のなか、エンドレスのエアロパーツ制作などでお付き合いのある、佐久市『トゥルース』に制作を依頼しました。
ここの「市川社長」も無理を聞いてくれる頼りになる協力者です!!
この時点で会社は正月休みに入りましたが、作業は続きます。
サスペンション制作で苦戦していたZEAL事業部が作り上げてきたサスペンションキットを組み上げていると、花里社長が『リアダンパーいつ上がってくるの??』と、『純正加工で完成みたいですよ!』って答えると『そんなごまかしはダメだ!!』と「神岡部長補佐」に連絡。休み中の神岡担当も社長のこだわりにより妥協し、諦めていた自分を反省し、できる限りの努力のもとオリジナルリアダンパーの制作をします。
無理だと思って諦めれば、どうにかしようというアイデアさえ生まれてこない。コレも「花里社長」が伝えたかった事でしょうね。
12月30日。年末ですね・・・・
車はほぼ完成状態に!!残る作業は、マフラー制作。オーバーフェンダー取り付け。ボディーラッピング。細かい部分の仕上げ。そしてエンジン始動!
全く見えてこなかった完成形が見えてきたので正月休みに入りました。
年明けは4日に出社し、細かい作業をし『アルトラック』に運びました。
時間の少ない中、『アルトラック』がこだわりのマフラーを制作してくれます!それも約4日間で!センターに出された2本出しのチタンテールパイプが最高にカッコイイ!
『アルトラック』は、「花里社長」も絶対の信頼を置くこだわりの技術集団で、素晴らしいマフラーに仕上げてくださいました。コレには僕らスタッフも感動モノです。
1月8日朝、『アルトラック』より車両を持ち帰り、仕上作業です! 思ったより下がらなかった車高を落とすため、届いたばかりのリーフスプリングを交換し、フロントダンパーの長さも変更してもらう。いいサイズがなかったタイヤもこの日に到着し組み換え!タイヤはもちろん『ADVAN』。オーバーフェンダーを制作してくださった『トゥルース』の「市川社長」が最後まで責任もって仕事をしたいと取り付けに来てくださり、エンドレスを取り巻くスペシャリスト達の協力により仕上がっていきました!!
もう少し!!
1月10日、搬入日。
実はギリギリでボンネット、フェンダーを交換することになり『志摩板金』に塗装を依頼。正月休みの中社長が1人作業をしてくださり、取りに行ったのが午後2時。
東京に移動しなくてはいけない「花里社長」もギリギリまで手を汚しガレージで作業します。
車両が完成し幕張に出発したのが午後5時。現地に着いてからは「吉田課長」が最後のラッピング!展示も終わりようやく長い作業が終わりました。
自分なりにかなりがんばれた今回のお仕事。『N360』と共に記念写真を撮り満足です。花里社長に『ここまで出来て満足です!!』って話したら『お前が満足して終わりじゃないんだ!見てくださったお客様が喜んでくださって初めて完成なんだ!』とのお言葉。
自分たちの為はもちろんですが、お客様の事を最優先に考える。コレも改めて学びました。
エンドレスブースにお越しの皆さま、エンドレスが持ち込んだ『N360』はいかがでしたか?
【写真】オートサロン当日、たくさんの方々から絶賛の声を頂きました。
注目してくださった方はお分かりでしょうが先にも触れたディスクローター 。
これ、なんとセラミックカーボン製なんです!!『コバレントマテリアル社』にご協力により出来たものです。こちらもオートサロンまで一カ月を切った中でご協力していただき完成致しました。かなりのコストはかかりましたが現在持っているエンドレスの技術をアピールするため、この『N360』に装着しました。こちらも商品化に向けテスト中です!!
【写真】なんとローターはセラミックカーボンを素材に使用。当日これに気がついたお客様が多数いらっしゃいました。
今回、この作業を通じ、「花里社長」を中心に会社全体で作り上げた1台の車。
また、日頃よりエンドレスを支えてくださる周りの皆さまの協力。 多くの事を学び、大きな達成感を味わう事ができたプロジェクト。
会社も、自分を含めたスタッフみんな、今まで以上に成長できたかな?
コレも社長の考えの1つだと考えると、まだまだ成長できる自分たちがあるって事を実感できますね!
あらためて今回協賛頂きました『YOKOHAMA』、『ENKEI』、『BRIDE』はじめ ご協力頂いた『コバレントマテリアル』、『志摩板金』、『スマイル』、『アルトラック』、『トゥルース』他皆様に感謝するとともに、今後もENDLESSスタッフみんなでがんばっていきます!!
是非期待してくださいね!!
(著:村田 信博 2013年1月22日)
オートサロンに飾っていたのはN360だけでありません。エンドレスブースの写真をいくつか掲載させていただきます。
N-ONEとN360のコラボレート!
2012年スーパー耐久で見事王者に君臨したフェアレディZ(Z33)です。
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