レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2022 第5戦 モビリティリゾートもてぎ 13号車
トップページ >> モータースポーツページ トップ >> スーパー耐久シリーズ 2022 第5戦 13号車 レポート

[予選/7月30日(土)] 13号車 2位
Aドライバー/伊東 黎明…… 3位 13:20〜 15分間 ドライ
Bドライバー/石坂 瑞基…… 2位 14:25〜 15分間 ドライ
Cドライバー/花里 祐弥…… 3位 15:05〜 20分間 ドライ 赤旗中断あり
Dドライバー/岡田 整……… 1位 15:45〜 20分間 ドライ


第5戦の舞台となるのは、今年からサーキット名を変更したモビリティリゾートもてぎ。シリーズランキングは2番手ではあるが、トップの225号車GR ヤリスとはポイント差が25ポイントにまで広がってしまっている。今回のもてぎラウンドを含む残り3戦で獲得できる最大ポイントは、3戦全てポールトゥウィンで86ポイント。一方225号車が2位フィニッシュで60ポイントのため、自力チャンピオンのチャンスが残されてはいる。しかし予選では6号車がこれまで全戦でポールを獲得しており、ポールポジションに与えられる2ポイントを獲得することは、かなり厳しいと言える。決勝レースにおいても225号車が抜群の安定感を誇っており、優勝も決して用意ではない。

ただ、諦めるにはまだ早い。勝利を手繰り寄せるためにも、今回チームはドライバーの登録数を変更してエントリー。というのも、今回のレースではドライバー交代を含むピットストップの回数が3回以上と義務付けられており、ドライバーが3名の場合には2回スティントをこなすドライバーが生まれる。この場合そのドライバーに負担が掛かることはもちろん、ドライバーが乗れる最大時間や連続運転時間などのレギュレーションにより、戦略の幅が狭まってしまう。そこで今回は、富士24時間でも走行した岡田がDドライバーとして登録。4名のドライバーで大事なレースウィークを戦い抜く。

予選日。渡海監督は「後がない。ここまで追い込まれたら、今の体制でできる限りのことはする。ドライバーに対しても『経験を積んでこい』ではなく『結果を残してこい』で、勝つための指示を出す。」とコメント。優勝のためには、上位グリッドの獲得が求められる。

Aドライバーの予選では、伊東が3番手タイムを記録。最速タイムは順当に6号車が記録し、2番手タイムの743号車シビックとも約1秒差と厳しい結果に。このままだと、決勝のスターティングポジションが2列目になってしまう。これを最前列にしたのがBドライバーの石坂だ。Aドライバーの伊東から路面コンディションなどを聞き、意地のアタックを見せた。2分07秒台を4ラップ目、5ラップ目と連続でマークするが、合算タイムでシビックに百分の数秒ほど届かない。しかし6ラップ目、2分07秒478までタイムを伸ばし、2番手に浮上させることに成功。ポールポジションを逃したことで自力チャンピオンの可能性は消滅したが、決勝レースに向けて確かな手応えを感じる予選となった。
[決勝/9月4日(日)] 13号車 優勝
スタート 11時04分39秒    チェッカー 16時05分31秒
路面コンディション ドライ
FCY導入
1回目 12時49分35秒〜12時51分33秒
2回目 13時43分03秒〜13時44分34秒
3回目 14時23分12秒〜14時29分17秒
4回目 15時55分30秒〜15時57分20秒


気掛かりであった大型の台風が沖縄付近に居座ってくれたため、天候は崩れることなく迎えた決勝日。早朝のチームミーティングで3号車(ENDLESS AMG GT4)のメンバーと、細かな部分まで確認した。特にピットストップについては綿密に調整を行う。ルーティンのピットストップはもちろん、セーフティカーが導入された際などのイレギュラーなピットストップの際の優先順位など、様々なシチュエーションを想定して打ち合わせを行った。

迎えた決勝レース。スターティングドライバーは石坂。これまでのレースのように、自分たちのペースで無理なく……と言う指示は出さない。スタートからプッシュし、6号車についていくよう指示を送る。一度、離されてしまうと、追いつくのは厳しくなるからだ。序盤はトップと4秒以内の差で追走。20ラップ過ぎには3秒、25ラップ過ぎには2秒以内に詰め追いかける。

最初にピットストップしたのは6号車。3ラップ後に石坂もピットストップし、花里にスイッチ。ここで交換するタイヤをフロント2本のみにすることで、ピット時間を短縮することに成功。花里をトップで送り出すことが出来た。この時点で6号車は3番手、そして目下のライバルである225号車が26秒差で2番手に浮上してきた。まずまずのペースで逃げる花里だが、45ラップ過ぎにFCYが提示される。すると、花里はFCY解除からのペースをなかなか上げられずタイム差が60ラップ過ぎには13秒にまで縮められてしまう。

ここで早めにピットストップして伊東にスイッチ。その後225号車もピットストップし、伊東がトップに返り咲いた。70ラップ目に2回目のFCY提示があり、解除後の225号車との差は16秒。伊東は225号車よりも速いペースで逃げ、100ラップ目には、その差を32秒にまで広げることに成功。102ラップ目にピットストップを行い、再び、石坂にスイッチした。

すると、2番手の225号車がコース上でスローダウン。ピットには戻ってくるが大きく遅れてしまう。これにより6号車が2番手に浮上、225号車はその後方の3番手でコース復帰となった。

石坂はこのままリードしトップでチェッカーを受け、待ちに待った勝利を掴むことに成功。21シーズン最終戦の岡山ラウンドでデビューした13号車GRヤリスは2位表彰台を獲得するも、今シーズンに入ってからも2位というトンネルから抜けることができなかった。しかしこのもてぎで念願の初優勝。これまで多くの経験を積み重ねてきた渡海監督を始め、ドライバー、メカニックも目頭が熱くなっていた。

特にチェッカーと同時に目が潤んでいた。「これまでスーパー耐久で表彰台のいちばん高いところには上がっていたけど、自分はドライブしていなかったので……。今回は足を引っ張った部分あるけど、(自分が)走った中でいちばん高いところに立てたので、これまでとは違う嬉しさでいっぱいです」と花里。

貴重な30ポイントを上乗せして、13号車のシリーズポイントは110ポイント。一方、ランキングトップにつけている225号車もトラブルをはねのけて3位表彰台を獲得。18ポイントを加えて123ポイントとなり、その差は13ポイントとなった。巻き返すにはまだまだ厳しい状況ではあるが、今回のレースのようにチームが一丸となって熱い戦いを繰り広げれば、十分に巻き返せるはずだ。残すは次戦の岡山ラウンド、そして最終戦の鈴鹿ラウンド。特に次戦の岡山は、渡海監督の地元とも言うべきサーキット。それだけに今度はドライバー、メカニックが優勝を監督にプレゼントしたい。 

Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/