決勝結果:クラス3位
決勝は5月31日(土)15時にスタートし、24時間後の6月1日(日)15時にゴールとなる。決勝に先立ち、朝9時50分から30分間の練習走行が行われた。雨上がりの富士スピードウェイはウエット路面から乾きつつある状況。ウエットタイヤでコースインし、走行チェックを行った。
ところが13時30分からグリッドに移動してグリッドウォークが行われるタイミングで、クルマがコースに移動を始めた直後に雷と雨が降り始めた。この悪天候によりグリッドウォークは15時に延期、スタートも1時間遅れの16時からと発表された。チェッカーの時間に変更は無いため、23時間のレースとなることが発表された。チームはスケジュール変更の混乱の中、雨に打たれながらレーススタートに向けて準備を進める。
15時59分59秒セーフティカー先導のままレースがスタート。セーフティカーに続いて走りながらタイヤを温め、路面の水分もタイヤが捲き上げることで徐々にコンディションを回復させていくが、依然として雨は降り続いている。16時16分セーフティカーがピットに入り、グリーンフラッグが振られてレースが開始される。
17時前からは雨が上がり徐々に路面は乾いていく状況。スタートドライバーの石坂は順調に5位で周回を重ねていく。
29周目、約1時間走行してピットイン。石坂から伊東に交代し、タイヤもレインタイヤからスリックタイヤに交換。クラス7位でコースに復帰。
73周目、伊東から花里に交代。タイヤはフロントのみ2本交換。コースには霧が出てきたが路面はドライ。その後、花里、岡田と繋いで順調に周回を重ねていく。
午後8時から24時間名物の花火が上げられたが、その煙によってコース上の視界が悪化。FCY導入に続きセーフティカーが導入される。ここまで築いた後方とのマージンが帳消しにされてしまうが、同時に前を走るマシンとの差を埋めるチャンスでもある。このときにトップである#95 SPOON リジカラ CIVICと2位の#72 OHLINS CIVIC NATSの間にセーフティカーが入ってしまい、#95が約1周前に行ってしまう。
午後9時40分を回った頃、岡田からABSが効かないと無線が入る。そのタイミングでコース上はアクシデントによりFCY導入に続きセーフティカーが導入される。チームは素早くピットインして各車1回義務付けられている10分間以上ピットで停止するメンテナンスタイムを使っての修理を決断。原因としてタイヤカスによる車輪速センサーの接触不良が起きたと推測し、その修理とブレーキパッド、ブレーキローターを交換。当初パッド材質は、スタートから12時間前後のメンテナンスタイムまでセミメタル材、その後も再びセミメタル材を投入する予定だった。しかしながらメンテナンスタイムが前倒しになったことで、レースはまだ残り約17時間残っている。そのため耐久性に優れる焼結材を選択。ドライバーは石坂に交代。セーフティカー中のメンテナンスタイム消化はコース上のマシンが遅いため、周回遅れにされる回数が少ない。修理も同時に行えたことから、戦略上有利な選択になったはずだ。
午後11時53分、残り時間15時間7分でセーフティカーが解除。現在順位は3位と上位に付けていたが、しばらくして石坂からABSが作動しないという無線が入る。先ほどの修理の際に車輪速センサーの配線にダメージはなかったものの、念の為交換してABSの動作は復帰した。今回も同じトラブルなのか、一先ず石坂はそのまま走行を続けながら原因を探っていく。
214周目にピットイン。右フロントブレーキの車輪速センサーの配線を見直し、ドライバーを石坂から伊東に交代しコースに復帰。トップの#95はメンテナンスタイムを未消化だが、現在12周遅れと大きな差が付いてしまった。一方ABSトラブルは解消され万全の状態で走行ができるようになった。
午前0時56分、2コーナーで複数台が絡むクラッシュが発生し、FCYが導入される。回収が長引きセーフティカーランに。午前1時18分クラッシュに伴うコース修復のため赤旗が掲示され、レースは一旦中断。コースを修復し、午前2時00分からセーフティカー先導で走行が再開。順位は6位。午前2時9分にセーフティカーが退去してレースが再開される。
午前3時20分、残り時間11時間40分ほどでピットイン。ドライバーを伊東から岡田に交代。フロントタイヤ2本を交換し、追い上げていく。クラス6位でコースに復帰。
午前3時40分、再び霧によってセーフティカー導入。1時間以上セーフティカーランが続いたが、午前4時45分、霧によって赤旗中断。順位は5位。
午前7時半30分からの再開がアナウンスされ、セーフティカーランで走行が再開。その直後、セーフティカーラン中に岡田から花里に交代。
午前7時45分レース再開。順位は5位。残り7時間でひとつでも順位を上げたい。このタイミングで花里は1分54秒076をマーク。ここまでのベストタイムで前との差を詰める。この時点で#743 honda R&D Challenge FL5に抜かれ6位になるが、#7 新菱オートDXL☆MART☆VARISエボがトラブルにより離脱し、再び順位は5位に戻る。
午前8時40分を回り、#743 シビックを抜いて4位に浮上。
午前9時8分ピットイン。花里から石坂に交代。ピットイン中にFCYが導入され、やや有利な展開となる。石坂は安定したペースで走行し、4位をキープ。残りは約6時間と、まだ普段のレース1戦分のディスタンスが残されている。上位との差は大きいが、諦めずに安定したペースをキープして表彰台を狙いたい。
午前10時41分、ピットインして石坂から伊東にドライバーをチェンジ。5位でコースに復帰。ここで2周先行している#225 KTMS GR YARISにFCY中追い越しによる60秒停止のペナルティストップが課せられる。約1周分のロスとなるため追いつきはしないが、その差が少しでも詰まっておけばオーバーテイクの可能性が出てくる。
午後12時8分。伊東から岡田に交代。タイヤ4本交換を行う。#743 シビックの前を走り4位を走行するが、差はわずか。前は約2周先を#225 GRヤリスが走っている。
しかし午後12時50分すぎに#225 GRヤリスが右フロントタイヤ脱落のトラブルでピットイン。思わぬ形で表彰台圏内の3位へ浮上した#13 ENDLESS GRヤリスだが、この時ハブボルトに不具合が発生。#225 GRヤリスと同じタイヤ脱落の可能性が#13 ENDLESS GRヤリスにも起こりうる状況となってしまった。
午後1時38分、最後のピットイン。幸運にも走行可能な状況ではあるが、万が一タイヤが脱落するようなことがあれば、表彰台圏内からの脱落はもちろんのこと完走も危うい状況となってしまう。そのためこのピットインでタイヤ交換を行う際は、普段使用するインパクトレンチでは無く、手動のトルクレンチを使用。不具合の出ているハブボルトへの負担を減らすよう心掛ける。タイヤはフロントのみを交換し、ドライバーは岡田から石坂に交代。最終スティントを託す。
このままトラブルなく走りきれば3位が濃厚だが、各車ともに走行開始から21時間を超えてトラブルが増えてきている。万全の作業で送り出した#13 ENDLESS GRヤリスも不具合を抱えながらの走行となるが、このままの順位で走り切りたい。
石坂は着実に最終スティントを走行し3位でチェッカー。懸念していたタイヤトラブルも無く完走することができた。
レース前半はABSトラブルがあり遅れを取ってしまったが、それを現場で対応・修復できたことはレーシングチームとして良かった部分として挙げられる。また後半はハブボルトの不具合がありつつも、ペース良く順位を上げていくことができた。
目標としていた富士24時間耐久レース3連覇は叶わなかったが、3位表彰台を獲得。2022年のENDLESS GRヤリスデビューイヤーから続いていた富士24時間レースでの表彰台獲得を今年も果たすことができた。自社製品のブレーキ、サスペンションを使い、過酷な24時間レースで継続して好成績を収められていることも、チームのみならず開発のメンバーにとって大きな収穫となった。
【SC導入】
1回目 スタート~16:16’34(4Laps)
2回目 20:22’30(141Laps)~20:45’45(148Laps)
3回目 21:45’00(181Laps)~22:15’40(190Laps)
4回目 22:24’45(195Laps)~23:52’32(217Laps)
5回目 1:03’42(252Laps)~1:18’51(256Laps)
6回目 2:00’00(257Laps)~2:09’20(259Laps)
7回目 3:39’11(310Laps)~4:45’35(329Laps)
8回目 7:30’00(330Laps)~7:46’20(335Laps)
【FCY導入】
1回目 20:18’30(140Laps)~20:22’30(141Laps)
2回目 21:42’28(180Laps)~21:45’00(181Laps)
3回目 00:03’20(223Laps)~00:06’10(224Laps)
4回目 00:23’40(234Laps)~00:27’36(235Laps)
5回目 00:56’12(251Laps)~1:03’42(252Laps)
6回目 7:58’40(342Laps)~8:00’49(342Laps)
7回目 8:22’25(354Laps)~8:22’57(354Laps)
8回目 8:41’10(365Laps)~8:42’12(365Laps)
9回目 9:08’52(380Laps)~9:14’58(381Laps)
10回目 9:48’03(399Laps)~9:48’53(399Laps)
11回目 12:10’09(477Laps)~12:14’03(478Laps)
12回目 13:05’03(506Laps)~13:06’41(507Laps)
【赤旗中断】
1回目 1:18’51(256Laps)~2:00’00(257Laps)
2回目 4:45’35(329Laps)~7:30’00(330Laps)
Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。
https://supertaikyu.com/