レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 13号車
第6戦 岡山国際サーキット
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マシン #13 ENDLESS GRヤリス 参戦クラス ST-2クラス
Aドライバー/花里 祐弥
Bドライバー/石坂 瑞基
Cドライバー/伊東 黎明
Dドライバー/岡田 整
監督 / 中村 稔弘

<#13 ENDLESS GRヤリス>


今シーズン2位表彰台と3位表彰台を2回ずつ獲得し、安定してポイントを獲得している#13 ENDLESS GRヤリス。一方で優勝までは一歩届かないレースが続いており、それぞれ2勝している#72 OHLINS CIVIC NATS、#225 KTMS GR YARISにシリーズランキングでは先行を許している。ポイント差もトップの#72が101.5ポイント獲得に対して、3位に位置する#13 ENDLESS GRヤリスは75ポイント。ここまで着実にポイントを重ねて来たが、トップとは26.5ポイント差と決して小さくはない差となっている。

それでもチャンピオン獲得はもとより、市販品にフィードバックするため自社のブレーキキャリパー、パッド、サスペンションなどの新規開発とブラッシュアップに勤めてきた。サクセスウェイトはトップの#72シビックと同じ70kgが積まれてしまう難しいコンディションではあるが、各パーツのパフォーマンスを集結し今シーズン初勝利とシリーズチャンピオンに向けたポイント獲得を目指す。
予選
A 花里 祐弥 1'41.365 クラス7番手

B 石坂 瑞基 1'40.968 クラス7番手

C 伊東 黎明 1'42.201 クラス4番手

D 岡田 整 1'52.994 クラス3番手

→予選結果:7位/8台中


10月25日(土)13時40分からAドライバー予選が行われた。午前中にはかなりの雨量の雨が降ったが、昼前から曇りになり、予選開始時間には路面が乾いた。空はどんよりとした雲が立ち込めている。気温は17℃ほどで思ったよりも暖かい中での予選となった。

Aドライバー花里は1'41.365をマーク。クラス8台中7番手となるタイムだが、70kgのウェイトハンデを負っている状態としては上々のタイムをマーク。Bドライバー石坂も1'40.968で7番手タイム。同じく70kgのウェイトハンデを背負った#72 OHLINS CIVIC NATSが1'40.075をマークしているが、その差を作戦とチーム力で埋めたい。

続くC・Dドライバー予選のタイムは予選結果に影響しないため、伊東と岡田は燃料フルタンクでのハンドリングチェックなどロングランのセッティング確認を行う。Cドライバー伊東は1'42.553、Dドライバー岡田は雨が降ってきた中スリックタイヤで1'52.994をマーク。各ドライバーとも順調に走行を終えた。総じて重いウェイトハンデからタイム的に厳しい面もあったが、決勝レースで巻き返しポイントを獲得したい。



決勝
決勝結果:5位

コース上は昨夜から雨が降り続く状況。スタート直前に雨は弱まり、#95 SPOON リジカラ CIVICなどスリックタイヤでのスタートを選択するチームもいくつか見られた。7番手からスタートする#13 ENDLESS GRヤリスはウエットタイヤを選択。

3時間レースとなる決勝はウエット路面の経験が豊富な石坂、伊東とつなぎ、最後に花里がドライブする予定。Aドライバー花里は最低乗車時間60分が課せられているため、残り60分以上を残したタイミングで花里に交代してゴールを目指すことになる。作戦では花里にバトンが渡る頃には雨は止み、徐々にドライ路面に変わっていく想定だ。

8時31分からセーフティカーランで周回が始まり、8時36分レースがスタート。路面は完全ウエットのため、スリックタイヤを選択した#95シビックを抜き、#13 ENDLESS GRヤリスは6位に浮上。

レース開始から30分経過。石坂は1分54秒台で安定したラップを刻む。スリックタイヤの#95シビックは一時4秒以上ラップタイムが遅かったが、徐々に路面が乾くとウエットタイヤと変わらないタイムを刻む。

残り2時間12分。コースアウト車両が発生し、FCYが導入されるが、ほどなくしてFCYは解除。

1時間が経過。3時間レースのため通常はドライバー交代のタイミングだが、コース上は路面が乾きつつある状況。そのため最大乗車時間付近まで石坂がドライブし、伊東に交代するタイミングでウエットタイヤからスリックタイヤに交換する作戦を取ることとなった。

35周目、#743 honda R&D Challenge FL5を抜いて5位に浮上。レースは約70分が経過。

40周目、ピットインしドライバーを石坂から伊東に交代。タイヤは作戦通りスリックタイヤ4本へ交換。

48周目#72シビックを抜いて5位に浮上。49周目には1分49秒台をマークして追い上げていく伊東。トップとの差は約60秒。1周あたり2~3秒ほど上位より速いため、このスティントでできるだけポジションを上げておきたい。

57周目、残り時間65分のところでクラッシュ車両が発生。FCYが導入されることを期待してピットイン。伊東から花里に交代し、タイヤは無交換。温まったスリックタイヤのためそのまま花里はプッシュできる。しかしクラッシュ車両は自力でコースに戻りFCYは導入されず。FCY中のドライバー交代によりピットでのロスタイムを減らすことが期待されたが、なかなか作戦通りには行かない。一方で花里への交代が必要なタイミングだったため、ピットイン自体は計画通りでロスは無し。問題なくピット作業もこなし、コースに5位で復帰となった。

花里は1分44秒台でラップしていくが、ほかのST-2車両もほぼ同タイムでラップ。花里からはあまりトラクションがかからず、思うようにタイムが出ないという無線が入る。ペースが上げられないまま6位で周回を重ねていく。残り時間17分、上位車両が続々と2回目のピット作業に入り、すでに2回のピットを終えている花里は5位に浮上。そのまま花里は走りきり、5位でチェッカーを受けた。

岡山を終えシリーズランキングは1位#72 111.50ポイント、2位#225 100.00ポイント、3位#13ENDLESS GR YARIS 83.00ポイントとなった。

最終戦は4時間レースだがポイントが1.5倍となるため、1位30ポイント、2位22.5ポイント、3位18ポイント、以下15/12/9/6/4.5とポイントが与えられる。

逆転シリーズチャンピオンを獲得するには、#13ENDLESS GRヤリスが優勝した上で、#72がノーポイント、#225は5位以下という条件が必要になる。かなり厳しい条件にはなるが、チャンピオンの僅かな可能性に懸ける。

また花里のドライブ中に報告があったトラブルは、レース後駆動系のトラブルと判明した。原因究明を進め万全の体制で最終戦に臨む。



【FCY導入】
1回目:09:17'44~09:20'18


Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 花里 祐弥

エンドレスとしては今回新しく2点のアイテムを追加しました。1つ目は今季開発中キャリパーであるRacingMONO6TA 軽量バージョンの開発ファイナルモデルです。エンドレスの限界への挑戦として開発を行っており、実戦評価のため投入を行いました。

2点目については、ナックルの変更です。これまでサーキットユーザーが多いRCグレードの仕様で開発を行っていましたが、区切りがついたためRZグレードのナックルへ変更を行いました。ロールセンターとバンプステアが大きく変わるので、事実上イチからのセットアップとなりました。

新型キャリパーは従来品より1個あたり約160gの軽量化を実現し、高温高負荷時の変形を抑えられるよう剛性は落とさないというコンセプトで設計を行いました。ローターの冷却を行うため「ルーバー」を設けたのも初の試みです。岡山国際サーキットはブレーキにも厳しいコースでテスト時のローター温度は180℃近辺になりますが、ペダルフィーリングも変わらず安心感が維持されました。開発担当からもローター温度の分布について有意義だと聞いています。軽量化の恩恵もあり、脚付きの良さも体感でき意義なテストになりました。

レースはセットアップまで上手く行きましたが、レース中のコンディションにまだ対応しきれていない部分もありましたので、最終戦ではそこを更に深掘りして開発を行っていきます。応援ありがとうございました。



●Bドライバー 石坂 瑞基

今回もクルマをアップデートして持ち込みました。まずは新型のブレーキキャリパーです。こちらはより軽くて剛性のあるものになっています。走ったフィーリングも剛性感を感じ、コントロール性も向上していました。

そしてフロントナックルの変更です。これまではRCグレードのものを使っていましたが、今回はRZグレードのものを使用しました。足回りが良く動くようになり、特にリバウンド時の接地が増しました。このナックルに合わせてダンパーなども改良してきましたが、まだまだパフォーマンスが上がるポテンシャルを持っていると思います。

今回自分はスタートドライバーでした。雨が降っているところから乾き始める難しいコンディションでしたが、大きなミス無く次にバントを繋げることが出来ました。チーム全員で必死に頑張りましたが苦しいレースとなってしまいました。練習走行からロングランのペースが課題でしたので、次に向けて出来ることを考えていきます。

もうすぐ迫っている最終戦ですが、最後まで諦めずに少しでも多くのものを持ち帰れるよう準備して臨みます。最後まで応援よろしくお願い致します!

●Cドライバー 伊東 黎明

今大会は約3ヶ月のインターバルを挟んでの開催となりました。このインターバルの間に、ブレーキキャリパーを市販化に向けて更にアップデートした物へ、マシンセットの面でも新たな試みとしていくつかアップデートをチームが持ち込んでくれました。

走り始めの走行では後期型ヤリスになってから1番の好感触で、今年悩まされていた制御の問題も改善方向に向かっていくと同時に、新たな課題も見つけていくことができました。

決勝ではウエットからドライに移り変わっていく難しいコンディションで行われ、全力を尽くしましたがポジションを大幅に上げることができませんでした。ペース不足でしたが、少し車両に問題を抱えていた可能性があるのでこれからチームが原因を探ってくれると思います。それと同時に最終戦に向けて自分たちも速く走らせられるように準備していきます。応援ありがとうございました。

●Dドライバー 岡田 整

今回車両に大幅な変更が施されたため、レースに向けては変更項目に対してのチェックを含めたセットアップを行いました。今回は2ピットの作戦でしたので、乗車予定はありませんでしたが、難しいコンディションを3人のドライバーが苦しいながらもチェッカーまで導いてくれました。

いよいよ次戦は最終戦の富士。今年よりスタートした後期型GR YARISでのレース初年度をいい形で締めくくれるよう、最終戦まで時間が少ないですが、自分の改善含めチームと共にベストを尽くしたいと思います。次戦も引き続き応援よろしくお願い致します。

●監督 中村 稔弘

今回は雨のレースとなりました。スタート直前から雨は弱まっていたのでスリックタイヤでスタートするチームもいる中、我々は確実な作戦ということでウエットタイヤでのスタートを選択しました。スタートは石坂でそこから路面が乾いてきたところで伊東に交代してスリックタイヤを投入。そのままスリックタイヤで花里につなぐ作戦でした。

ウエット路面のときにペース的に苦しい部分がありました。そこからスリックタイヤに交換して路面が乾いたところでは上位と同じペースで走れましたが、序盤のペース的に苦しい部分があったことで5位という結果になりました。

今回は新設計のテストキャリパーを装着していて、そのテストを行っていました。ウエット路面で思い切り負荷を掛けたテストができなかったことが残念ですが、また最終戦の富士でテストをしたいと思います。レースとしてもシリーズチャンピオンの可能性が残っている以上、もちろんチャンピオン目指して頑張ります。最終戦まで時間は少ないですが、きっちりと準備したいと思います。ありがとうございました。