レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 13号車
第7戦 S耐FINAL大感謝祭 富士スピードウェイ
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マシン #13 ENDLESS GRヤリス 参戦クラス ST-2クラス
Aドライバー/花里 祐弥
Bドライバー/石坂 瑞基
Cドライバー/伊東 黎明
Dドライバー/岡田 整
監督 / 中村 稔弘

<#13 ENDLESS GRヤリス>


今年こそはチャンピオンを、と臨んだ#13 ENDLESS GRヤリスの2025シーズン。優勝には届かないまでも連続で表彰台に乗り続けていたが、前戦岡山では駆動系トラブルが発生し5位に沈んでしまった。上位とのポイント差も離されてしまい、最終戦では#13 ENDLESS GRヤリスが優勝した上で#72 OHLINS CIVIC NATSがリタイヤ、#225 KTMS GR YARISが5位以下という条件がチャンピオンのために必要になる。

一方でその駆動系トラブルの発生原因を究明したところ、エンジンセッティングの見直しによりこれまで以上にエンジン出力を引き出せたことによるものと判明。チームは最終戦富士を前にトラブル解消法を発見し、テスト走行でトラブルの解消を確認することができた。チャンピオン獲得が難しいことには変わりないが、進化したマシンで優勝を目指す。

そしてシーズン通して続けてきたブレーキとサスペンションのテスト・開発も一区切り。市販品へのフィードバック、そして来年以降の“エンドレスな”開発に向け、最終戦ではさらに熟成を進める。

なおサクセスウエイトは#72シビック、#225GRヤリスそして#13 ENDLESS GRヤリスが揃って45kg。イーブンな条件でのチャンピオン争いとなる。
予選
A 花里 祐弥 1'52.562 クラス5番手

B 伊東 黎明 1'52.719 クラス7番手

C 石坂 瑞基 1'52.407 クラス3番手

D 岡田 整 1'53.717 クラス3番手

→予選結果:7位/8台中


予選は11月15日(土)13時00分から開始。肌寒い富士スピードウェイは秋晴れの快晴。花里はリアタイヤを上手く温めることを心掛け、1分52秒5の好タイムをマーク。石坂はストレートでのスピードアップのためリアウイングの角度を若干寝かせてコースイン。しかしそのセッティング変更により、アタックラップではコカ・コーラコーナーで姿勢を見出し4輪脱輪してしまう。再度行ったアタックで1分52秒7をマークしたが、納得のいくラップを決めることが出来なかった。

伊東はロングラップ用に変更したセットで1分52秒4のチームトップタイムをマーク。岡田も1分53秒7の好タイム。伊東の乗車時から投入した新たなブレーキパッドが好フィーリングで、効きが良く微妙な速度コントロールでも扱いやすいという。伊東はリアが重くなるガソリン満タンの状況でトップタイムを出せており、決勝に向けて巻き返しが期待できる結果となった。

決勝
決勝結果:4位

晴れ渡る富士スピードウェイ。決勝レースは13時10分からフォーメーションラップが開始され、13時15分決勝レースが始まった。スタートドライバーは石坂。そこからAドライバーの花里、Dドライバーの岡田、そしてCドライバーの伊東へ繋ぐ作戦だ。

石坂は7位でスタートし、順調に周回を重ねていく。1分54秒台で周回していくが、トップのシビック勢は1分53秒台で周回。じわじわと引き離れていく。とはいえ、ガソリン満タンからのペースの良さは確認できており、石坂のスティントで粘りを見せたい。

31周目、石坂から花里に交代。タイヤはフロント2本のみ交換。6位でコースに復帰。ここから花里はAドライバーの最低乗車時間60分を消化しながら追い上げていき、40周を超えたところで5位に浮上。しかし上位勢もハイペースで周回しており差が詰まっていかない。一方でレース時間はまだ多く残っており諦めるには早い。チームとしてもピット作業の速さでサポートし、少しずつでも上位を目指していく。

63周目、ピットインして花里から岡田に交代。今回はタイヤ4本を交換するフルサービスでコースに復帰。6番手での復帰だが、まだ上位の1位~4位までは2回目のピット作業を終えていない。岡田は1分54秒6という石坂のベストラップとほぼ同タイムで徐々に追い上げていく。やはり想定したレースペースの良さがある。

86周目、最後のピットイン。岡田から伊東に交代。タイヤはフロントのみ2本を交換。最終スティントの65分間を伊東に託す。路面温度が下がり、徐々に走行ペースがよくなってきた。このまま追い上げて現在の5位から表彰台を目指したいところ。伊東もほぼチームベストの1分54秒6で周回を重ねていく。94周目にベストとなる1分53秒8をマーク。

伊東は順調に周回していくが、トップの#743 Honda R&D Challenge FL5はほぼ同タイムで周回。#225GRヤリス、#95 SPOON リジカラ CIVIC、#72シビックなどもほぼ同タイムで周回し、差は詰まって行かない。

119周目、ついに#72シビックを抜いて4位に浮上。そのまま表彰台を目指したいところであったが、残り時間は数分。追い上げ叶わず4位でチェッカーとなった。

レース後半ではシビック勢と同等のタイムで周回を重ねることができ、クルマの進化を感じられることができた。しかし順位を上げることに苦戦し、シリーズチャンピオンに向けて絶対条件であった優勝は果たせず。2025シーズンは4回の表彰台を獲得しランキング3位で終えた。









【FCY導入】
1回目:14:58'31(58Laps)~15:01'11(59Laps)
2回目:15:55'26(89Laps)~15:57'20(90Laps)

Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 花里 祐弥

最終戦は前戦より行っている新型ブレーキキャリパーの評価試験を主軸に走行を行いました。このキャリパーは新たに採用した本体のルーバーデザインによるキャリパー温度の抑制が一つの狙いとなっています。今回の走行では140℃近辺を維持できる様な結果が出ました。これは従来の富士でキャリパー温度が180~190℃であることを鑑みると驚異的な温度抑制となり、レース中のペダルタッチの変化なども皆無でした。

このキャリパー温度の抑制について、開発のためブレーキダクトなどを引いていない13号車にとって武器になることはもちろんのこと、ブレーキダクトが付いていない場合が多いナンバー付き車両でも大きな優位性を生み出します。

今回のレースでは車両セットアップに苦しむ部分はありましたが、4位でチェッカーを受けることが出来ました。振り返ればシビックや他のGRヤリスに敵わなかった部分があり、私達の責任です。ですが、レースという厳しい環境の中、商品開発を行えたことは非常にありがたい事です。

今シーズン開発したパーツが、今後お客様に届き皆様に楽しんで頂けるようこれからも全力で努めて参ります。今シーズンも応援誠にありがとうございました!
●Bドライバー 石坂 瑞基

今回はダンパーセッティングを大きく変える挑戦をしました。これまでの流れから良い方向性は分かっていたので、思い切って変更しました。練習走行を通して最後まで試行錯誤を繰り返し、C/Dドライバー予選では良いセットアップが見つかりました。

決勝はスタートドライバーを務めさせていただきました。最初からハイペースで追い上げていくつもりでしたが、昨日とはフィーリングが大きく変わってしまい辛いレースとなりました。少しずつ前進しているものの、根本的に改善されていないと感じました。今年はマシンが新型となりましたが、そのポテンシャルを全て発揮出来ずに終わってしまい、反省点が残るシーズンでした。

オフにはシーズン中に出来なかったような様々なことを試し、来季は開幕戦から速さを見せられるよう頑張ります。いつも多くの方に応援頂き本当に力になりました。1年間応援ありがとうございました。

●Cドライバー 伊東 黎明

前戦岡山から3週間、早くも最終戦が富士で行われました。岡山大会で出たトラブルの原因と対策、クルマのセットアップを含めたテストをチームがこの短期間に行ってくれました。

今回は、決勝ペースの改善をメインとして初日から組み立てていきました。木・金曜日とセットアップを進めていきましたが、思ったような変化を得ることができず少し行き詰まってしまいました。しかし自分のCドライバー予選では、直前に変更を加えた点がとても機能して決勝に向けてポジティブな状態で終えることができました。そのような事から期待を持って挑んだ決勝でしたが、予選時のバランスとは大きく異なってしまいました。レースペースも他車とは劣る部分があり、悔しい4位となりました。

【なぜ予選と決勝で大きく異なったのか。ここから強く速くなるにはどうするべきか。】については、レース後のミーティングで話し合い既に前進しています。今年も、目標のシリーズチャンピオンが獲得できず非常に悔しいですが、結果を受け止めて自身を成長させていきたいです。今シーズンも沢山の応援をありがとうございました!

●Dドライバー 岡田 整

今回は「決勝に強いクルマ」をテーマにチームと共にセットアップを進め、ダンパーの仕様を変更した物や、今回だけでなく来季に向けてもチェックと開発を進めました。

決勝は他のレースより短い4時間のレース。決勝に強いクルマで優勝目指して走る予定でしたが、前日の予選のC&Dドライバー予選で良いフィーリングを得ていた部分が無くなってしまい、決勝では苦しい展開になってしまいました。チームとしてはミスもペナルティもありませんでしたが、4位にてフィニッシュとなりました。

今年1年新型GR YARISと共に走り、色々なトラブルもありながらもチームと共に歩んだ1年を、多くの方に応援頂きありがとうございます。来年こそ、結果で皆様に恩返し出来るようにベストを尽くします。今年も1年たくさんの応援ありがとうございました。

●監督 中村 稔弘

前戦岡山より車両の仕様が変わり、以前の仕様でバランスが取れていたところから、新たにセットアップを進めることになりました。岡山戦では決勝中にペースが上がらず苦戦したものの、タイトなスケジュールながらテスト走行を実施。不調の原因を特定してシリーズ最終戦に望むことができました。

木曜、金曜と進めた新仕様でのセットアップは新たな発見も多く、GRヤリスの性能を引き出せていなかった部分を反省しつつも確実に前進を感じられるものでした。A、Bドライバー予選ではランサー、シビック勢のタイムに届かないながらも、C、Dドライバー予選の決勝想定の走行ではペース、フィーリング共に翌日に向けて期待を持てる雰囲気でした。

実際に決勝が始まると前日のフィーリングと違いアンダーステアが強く、ドライバー達に苦しい時間を過ごさせてしまいました。そこはまた今後改善していきたいと思います。

優勝のないシーズンになってしまいましたが、様々なサポート、応援を頂きながらレースをできたことを感謝しております。また、ここで鍛えた製品をお客様にお届けしていきたいと思います。1年間ありがとうございました。