レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 3号車
第5戦 オートポリス
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マシン #3 ENDLESS GR86 参戦クラス ST-4クラス
Aドライバー/坂 裕之
Bドライバー/菅波 冬悟
Cドライバー/小河 諒
Dドライバー/島谷 篤史
監督 / 中村 稔弘

<#3 ENDLESS GR86>


5月末の富士24時間レースを終え既に4レースを消化したST-4クラス。約2か月ぶりのレースは真夏のオートポリスとなった。ここまで65ポイント獲得でシリーズランキング3位の#3 ENDLESS GR86だが、トップの#884 シェイドレーシング GR86(106ポイント)、2位の#41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86 Winmax(87.5ポイント)と上位2台とは大きく差を付けられている状況。逆転するのはかなり難しい状況だが、サクセスウェイトの点では上位2台が60kg、#3 ENDLESS GR86が20kgと有利なコンディションでこのレースを戦える。今シーズン初優勝を果たし、少しでも上位のマシンとのギャップを埋めたい。

予選
A 坂 裕之 2’06.217 クラス2番手

B 菅波 冬悟 2’05.188 クラス3番手

C 小河 諒 2’07.640 クラス1番手

D 島谷 篤史 2’10.710 クラス2番手

→予選結果:3位/6台中


7月26日(金)13時40分からAドライバー予選が行われた。天候は晴れ時々曇り。午前中は晴天で猛暑といえる気温だったが、徐々に雲が増え始めた午後は過ごしやすい気温になった。コース上には週末にかけて路面にタイヤのラバーが徐々に乗っていったため、グリップ状況が変わり続けるコンディション。#3 ENDLESS GR86は金曜日の最終枠でリアのバネレートをアップさせ、変化していく路面に対応することが出来た。

Aドライバー坂はGR86勢トップとなる2分6秒217をマーク。渾身のアタックによりクラス2位タイムとなった。Bドライバー菅波も2分5秒188と好タイムをマークするがクラス3位。A、Bドライバーの予選タイムの合計によって予選は3番手となった。40kgも重いサクセスウェイトを積んだ#41 GR86が予選2位を獲得していることを考えると、さらなる速さを手に入れたい。

Cドライバー小河は決勝用のセッティングを確認。コンスタントラップの良さが確認できたため、決勝も期待が持てる走行となった。また島谷はこれまでの走行距離が少なかったこともあり、走り込みを重ねてクルマとコースへの習熟を行った。

ウエット路面になるほどではなく、気温・路面温度ともに下がってきた。

その後坂は#66 ロードスターに抜き返されるも2位で走行。71周目でトップとは13秒7の差。このときにコース上ではクラッシュが発生してFCYが導入され、さらにSCが導入される。

73周目SC中にピットインして坂から小河に交代。ガソリンはここでフル給油。最後のピットインでは1本(20L)給油のクイックピットでピットイン時間を削減する戦略だ。

小河は気温が下がってきたこともあり、2分9秒台のラップを刻んでいく。トップを争っていた#66 ロードスターは10秒ピットストップのペナルティが課せられ後退。#3 ENDLESS GR86はトップでレース終盤を迎えることとなった。とはいえペースのある2位#884 GR86に加え、#66も再びハイペースで追い上げてくる。最終ピットインでタイヤを2本交換にするか、4本交換にするかがカギになる。

残り37分で2位の#884 GR86がピットイン。燃料1本(20L)とタイヤ4本交換でピットアウト。次の周の117周目、#3 ENDLESS GR86もピットイン。小河から菅波に交代し給油は1本(20L)、タイヤは4本交換と同じ戦略を採用。ピットでの順位変動は無く、菅波はトップでコースに復帰する。

2位の#884 GR86との差は22秒。このマージンを守りきれば優勝となる。問題なくこれまでのペースで走れば優勝できる計算だが、アクシデントがつきまとうのもレース。タイヤを4本交換できたことでタイヤトラブルが発生する可能性は最小限に抑えられたが、チェッカーを受けるまで油断できない。そんな中、菅波は順調に走行。2位以下との差を徐々に広げ、最終的には43秒の差をつけてゴール。見事クラス優勝を果たした。

決勝
決勝結果:優勝

決勝レースは11時からスタート予定だったが、その直前から小雨が降り始めた。スリックタイヤで走行ができる路面状況ではあるが、空には雲がかかり風も強いコンディションでのスタートとなった。

スタートドライバーは菅波が担当。その後は坂がAドライバーの最低乗車時間75分を消化し小河へチェンジ。最後に再び菅波がドライブしゴールする予定だ。その菅波はスタート直後の1周目に#41 GR86をパスして2位に浮上。上々の滑り出しとなった菅波はトップの#66から約3秒後方で順調に走行を続ける。小雨も止み晴れ間も見え、コース上はドライコンディションのレースとなった。

展開が荒れやすいスタート直後はセーフティカー(SC)が導入されることがあり、展開に合わせて早々にピットインすることが考えられる。特に今回のような雨交じりの場合はアクシデントの発生率も上がる。そのため緊急ピットインに対応できるよう2番目に乗車予定だった坂に加え、マシンへの乗り込みが速い小河も待機していた。

しかし今回はSC導入などもなく、コース上もドライとなりレースは順調に進行。39周目に予定通り菅波から坂へ交代。タイヤは4本交換、給油は3本(60L)のフルサービスの作業を行った。コースへ2位で復帰すると、#66 ロードスターがピットインしたタイミングで逆転に成功した。坂はそのままトップで順調に走行。レース開始から約2時間経過時に再び小雨が降り始めるが、ウエット路面になるほどではなく、気温・路面温度ともに下がってきた。

その後坂は#66 ロードスターに抜き返されるも2位で走行。71周目でトップとは13秒7の差。このときにコース上ではクラッシュが発生してFCYが導入され、さらにSCが導入される。

73周目SC中にピットインして坂から小河に交代。ガソリンはここでフル給油。最後のピットインでは1本(20L)給油のクイックピットでピットイン時間を削減する戦略だ。

小河は気温が下がってきたこともあり、2分9秒台のラップを刻んでいく。トップを争っていた#66 ロードスターは10秒ピットストップのペナルティが課せられ後退。#3 ENDLESS GR86はトップでレース終盤を迎えることとなった。とはいえペースのある2位#884 GR86に加え、#66も再びハイペースで追い上げてくる。最終ピットインでタイヤを2本交換にするか、4本交換にするかがカギになる。

残り37分で2位の#884 GR86がピットイン。燃料1本(20L)とタイヤ4本交換でピットアウト。次の周の117周目、#3 ENDLESS GR86もピットイン。小河から菅波に交代し給油は1本(20L)、タイヤは4本交換と同じ戦略を採用。ピットでの順位変動は無く、菅波はトップでコースに復帰する。

2位の#884 GR86との差は22秒。このマージンを守りきれば優勝となる。問題なくこれまでのペースで走れば優勝できる計算だが、アクシデントがつきまとうのもレース。タイヤを4本交換できたことでタイヤトラブルが発生する可能性は最小限に抑えられたが、チェッカーを受けるまで油断できない。そんな中、菅波は順調に走行。2位以下との差を徐々に広げ、最終的には43秒の差をつけてゴール。見事クラス優勝を果たした。

ペースが速いライバルもいたが、ベストなタイミングでピット作業を行ったこと、ドライバー・メカニック含めたチーム全員がミスすることなくマシンを走らせることができたことが優勝の大きな要因となった。また、これまではレース中にペースの落ち幅が大きいこともあったが、今回のレースではスティント後半でも安定したペースで走ることが出来た。特に坂は燃費とタイヤをセーブしながらスティント後半で2分10秒台をキープして走行していた。坂自身のスキルはもちろん、サスペンションセッティングとMBRの活用が上手くできた証でもある。このようなデータや経験をマシン開発はもちろん、製品開発にフィードバックしていく。

シリーズランキングは1位の#884 シェイドレーシング GR86が128.50ポイント、2位 #41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86 Winmaxが102.50ポイント、そして#3 ENDLESS GR86は95.00ポイントで3位となった。

【FCY導入】
1回目 13:41'40(79Laps)~13:46'02(80Laps)

【SC導入】 1回目 13:46'02(80Laps)~13:59'56(84Laps)


Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 坂 裕之

 近年のスーパー耐久はAドライバーの動向次第で勝敗が決まると言っても過言ではない中で、今期はどのレースでもその役割を果たせず、逆に足を引っ張る場面の方が多かったと思います。今回も木曜日の走り出しでは思うように走れず、また不本意な結果になるのではと不安になりました。

それでもチームの皆さんは諦める事なく、坂を何とかしなければ!を合言葉に私のために多くの時間を割いてくれました。そこでマシンのセットアップは信頼できるチームメイトの3名にお任せして、私はとにかく自分の走りの概念を変えることに全集中しました。その甲斐あって、少しずつチームのみんなが作ってくれたマシンへ運転を合わせ込むことが出来ました。予選、決勝ともロードスターには抜かれてしまいましたが、GR86勢の中では最低限ながら役割を果たせたと思いますし、完璧に仕事をこなしてくれたチームのみなさん、応援してくださったたくさんの方々のおかげで優勝する事が出来ました。

レースはあと1戦残っていますので、悔いのないシーズンにするべく集中して挑みます。ご声援ありがとうございました!
●Bドライバー 菅波 冬悟

今シーズンの初優勝ができて大変嬉しく思います。今年はかなり苦労した状態がチーム、ドライバー共に続いていましたので今回の優勝は最終戦に向けての後押しになったと思います。

レインコンディションでスタートしたレースは2位と3位を行き来する内容で進んでいましたが、途中のアクシデントによりマシンの修復を余儀なくされ上位戦線から離脱する形となりました。チームとメカニックによる流石の作業により迅速にマシンをコースに戻していただいたおかげで、4位にとどまることが出来ました。

とはいえ、今回はライバルチームが自分たちよりも40kg重い状態でのレースでしたし、ラッキーがある展開での優勝でしたので、引き続きパフォーマンスの改善は必要だと感じました。最終戦は全員が満足する勝ち方をできるように準備したいです。
●Cドライバー 小河 諒

まずは今シーズンここまで良い結果を出すことができませんでしたが、変わらずにサポートし続けてくれた全ての皆さんに感謝します。限られた時間の中で多くのトライをしてレースに挑めたことで、レースペースでは他のGR86勢よりも速いラップを刻む事が出来たのだと思います。

しかし、サクセスウエイトやロードスターのペースを見ると、まだまだ我々に足りない物も感じました。最終戦に向けてさらに開発を進め連勝で締めくくる事が出来るよう準備したいと思います。今大会もありがとうございました。

●Dドライバー 島谷 篤史

今回、大きく流れを変えるという意味で、走り出しから小河選手にマシンバランスのセッティングを担当してもらいました。オートポリスの路面特有のタイヤ摩耗の厳しさから一発の速さよりも決勝でタイム落ちが少ないセッティングに振りましたが、そのことが吉となり決勝のパフォーマンスに繋がったと思います。

また、今シーズンより新規投入した市販品のRacingMONO2キャリパーでの初優勝となり、レースの舞台で性能の高さを証明出来たと思います。優勝に導いてくれた坂選手、菅波選手、小河選手、そしてノーミスで仕事をこなしてくれたチームには感謝の気持ちで一杯です。

私にとっては10年振りのオートポリスという事で攻略するには時間が足りなかった感はありますが、色々と課題が発見出来たので有意義な経験となりました。今回もたくさんの方々にチームENDLESSを応援していただき本当にありがとうございました。

●監督 中村 稔弘

やっと優勝することが出来ました。スポンサー様、応援していただいている皆様にいい報告が出来たこと嬉しく思っています。

今大会は、ポイント上位のクルマに比べて#3 ENDLESS GR86はサクセスウエイトが40kgも軽いため、この大会は勝つぞという気持ちで臨みました。また、今までと流れを変えるためセットアップドライバーを小河選手に変更し、トラックエンジニアも変更するなど新しい取り組みを行いました。加えてテストしている自社製品もいい変化をもたらしてくれたと感じました。

予選では3位となりましたが、坂選手がAドライバー予選2位と速さが戻ってきたのが最大のトピックでした。Bドライバーの菅波選手も#41に負けて3位となりましたが、1発の速さよりロングランに焦点をあてたセットアップなのであまり悲観せず決勝に向けて準備をしました。

決勝は他のGR86に比べて良いペースで周回出来たことで、かなりのマージンを稼げていました。しかしながらレース途中にクラッシュ車両が発生しFCY導入、そのままSC導入となったことで、一時はマージンがほぼ0になってしまいました。それでも小河選手と菅波選手の頑張りによって再び後続を引き離して優勝することが出来ました。

残りはあと最終戦の富士大会を残すのみとなっていますが、このままの勢いで2連勝して終わりたいと思っています。応援いただいている方々に良い報告が出来るよう、残された時間で最善を尽くしていきます。変わらぬ応援を宜しくお願い致します。