レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 3号車
第7戦 S耐FINAL大感謝祭 富士スピードウェイ
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マシン #3 ENDLESS GR86 参戦クラス ST-4クラス
Aドライバー/坂 裕之
Bドライバー/菅波 冬悟
Cドライバー/小河 諒
Dドライバー/島谷 篤史
監督 / 中村 稔弘

<#3 ENDLESS GR86>


第6戦岡山は出走外となったST-4クラス。#3 ENDLESS GR86は長いインターバルを挟んで最終戦富士を迎えることとなった。第5戦のオートポリスで今シーズン初優勝を飾った#3 ENDLESS GR86だが、ランキング上位の2台が大量ポイントを獲得していることで#3 ENDLESS GR86のシリーズチャンピオンの可能性は最終戦を前に消滅してしまっている。

しかしながら新型ブレーキキャリパーの投入や新たなサスペンションセッティングの導入など、シーズン通して行ってきた製品開発を最終戦でも投入。また昨年はここ富士で逆転チャンピオンを獲得しており、チームとして良いイメージのレースだ。オートポリスに続く勝利を果たし、シーズンを良いかたちで締めくくりたい。
予選
A 坂 裕之 1’58.075 クラス6番手

B 菅波 冬悟 1’55.862 クラス3番手

C 小河 諒 1’57.592 クラス2番手

D 島谷 篤史 1’58.856 クラス2番手

→予選結果:6位/9台中


予選は11月15日(土)13時00分から開始。晴れ渡る富士スピードウェイは肌寒いくらいの気温。路面は完全にドライ。この寒くなる時期の路面にどうセッティングを合わせ込むかが鍵となる。

木曜日、金曜日と練習走行でセッティングを進め、サスペンションはバネレート低めのセットと、わずかにバネレート高めのセットをテストした。結果として、よりブレーキングで懐の深いバネレート低めのセットにMBR(メイクバンプラバー)を組み合わせたセットを採用して予選に挑んだ。

坂はクラス6番手となる1分58秒0をマーク。上々の仕上がりを見せるが、本人はもっといけたと悔いる。菅波は1分55秒8でクラス3位タイムをマーク。小河はロングラン用に変更したセットで、クラス2番手となる1分57秒5を記録。島谷もこの週末でベストとなる1分58秒8と安定したラップを刻んだ。ドライバーからは車高の見直しなどセッティング変更で乗りやすくなったとコメントもあり、決勝ではコンスタントラップの良さを武器に追い上げていきたいところ。

決勝
決勝結果:優勝

秋晴れの富士スピードウェイ。気温は14℃と過ごしやすい。スーパー耐久2025最終戦となる4時間耐久レースが13時15分にスタートした。

スタートドライバーは菅波。予選は6位からのスタートだったが、菅波の猛プッシュで3周目に2位まで浮上。4周目にはトップの#216 HMRスポーツカー専門店GR86を捉えて1位になった。このまま差を広げてAドライバー坂にバトンタッチしたい。10周を終えた時点で2位との差は約10秒。12周目、シリーズトップの#884 シェイドレーシング GR86がトラブルによりピットインする。

菅波はレース序盤のベストタイム1分57秒3と近いタイムで快走。2位を引き離す圧倒的なコンスタントラップの速さだけに、できるだけ菅波で引っ張りたい。

44周目、1回目のピットイン。ドライバーを菅波から坂に交代。タイヤは4本交換し、給油も3本(60L)のフルサービスを行った。給油量が2本以上の場合には最低ピット停車時間が発生するため、給油量も作戦面で大事な要素となる。

代わった坂がAドライバーの最低乗車時間を消化しながら、しっかりとペースを作って走行していく。坂は想定よりも好タイムの1分59秒台で順調に周回していく。

74周目、2回目のピットイン。坂から小河に交代。タイヤは4本を交換するが、ピット滞在時間の発生しない1本(20L)のみの給油で素早くコースに復帰する。

残り時間は1時間。5位の#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFが約2分30秒後方で走行している。トップ走行中の#3 ENDLESS GR86は最後のピットを残しているが、#66 ロードスターは燃費の良さを生かし、最終ピットをすでに終えている。勝利のためには最後のピット作業で1本給油での素早いコース復帰が求められるが、そのためには完走できる十分な燃料を残す必要がある。そこで小河と最終バッターの菅波で燃費を稼ぐことに。小河は燃費走行に切り替え、残りのスティントの走行を続ける。

104周目、運命の最終ピットイン。ドライバーは小河から菅波に交代し、給油は作戦通りの1本(20L)のみとした。フロントタイヤのみ交換し最短時間でピットを終え、目論見通り1位のままコースに復帰することができた。2位の#66 ロードスターには約70秒の差が付いており、レースは残り25分。

菅波は日の暮れた視界の悪い富士で安定して走行。残り5分で2位との差は依然約71秒と大きな差を保っている。115周目には1分57秒206のチームベストタイムをマークするなど、菅波はハイペースでマージンを守りきりトップチェッカー。2年連続のシリーズチャンピオンには届かなかったが、シーズン2勝目を2連勝で飾り2025年シーズンをランキング2位で終えた。

【FCY導入】
1回目:14:58'31(58Laps)~15:01'11(59Laps)
2回目:15:55'26(89Laps)~15:57'20(90Laps)

Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 坂 裕之

まず、今年最後のレースを最高の結果で締めくくる事ができて、チームのみなさん、スポンサー様、応援してくださる全ての皆さんに喜んでいただく事ができました。本当にありがとうございます。

エンドレスの製品は、スーパー耐久やサーキット走行など、レース現場から一般道の通常使用まであらゆる場面を想定して開発されていますが、特にレース現場ではレースウィークの練習走行、予選、決勝中も全ての時間がその開発に使われています。

プロのドライバーは付いている物やセッティングに合わせてクルマを速く走らせる事ができて、実際に私はこの3年間それを目の当たりにしてきました。しかしエンドレスの製品を購入してくださるお客様のほとんどは私のようなクルマやスポーツ走行が好きな一般ユーザーさんですので、その方々に気持ち良く使いこなしていただける製品でなくてはなりません。ですので、それぞれの開発部署から持ち込まれたパーツを装着してプロのドライバーが走って特長を把握し、それに合うセッティングをして、これなら坂も使いこなせるはず!という状態で私に託される訳です。

前回のオートポリスではそれがしっかりハマって予選、決勝共に良いタイムで走る事ができましたが、今回の富士の予選ではそれを外してしまいました。私はそれが申し訳なくて怒られるのを覚悟で予定周回数を超えて走り続けましたが、残念ながら想定タイムには全く届きませんでした。Bドライバー、Cドライバーの2人はプロですのでそのままいっても上位のタイムで走れたと思います。しかしチームは私が速く走れなかったデータを分析し、残りのドライバーの大切な予選時間まで使ってセッティング変更とテストをしてくれました。

Dドライバーの島谷選手が走る頃にはタイムアップに繋がる方向性が見えてきて、そのデータを元に予選が終わった後も協議を重ねて、決勝レースを考慮しながらにセット変更し、結果的に予選6位からライバルチームに対し大差で優勝できるマシンにまで仕上げてもらって本当に救われました。

でもまだ終わった訳ではなくて、後日レース後のミーティングがあって、今回のレースで得たデータを元に意見を出し合ってまた作って走って試していきます。もちろん現行の製品も素晴らしいですが、それに満足する事なく年をまたいでずっと続いていきます。製品作りは最新機材を使って精度の高さを追求していますが、最後の最後は人がやるのだなと、改めてチーム力に感謝した最終戦でした。

結果的にシリーズ2位とあと一歩でしたが、変わらずのご声援ありがとうございました

●Bドライバー 菅波 冬悟

我々3号車は岡山大会がありませんでしたので、オートポリスラウンド以降の長いインターバルを挟んでの最終戦でした。そのインターバルの間にチームが素晴らしいアップデートを施してくれたおかげで今回の快勝に繋がったと思います。

特にサスペンションの進化は大きく、今まで苦手に感じていたレースペースがかなり良くなったことは僕達も驚きでした。今年は前半戦でかなり苦労した分、ラスト2戦を優勝で終えられた事を大変嬉しく思います。

勝たせてくれたチームスタッフに感謝します。ありがとうございました。

●Cドライバー 小河 諒

最終戦を優勝し、オートポリスから2連勝でシーズンを締めくくることができました。応援して頂いた皆様ありがとうございます。

今シーズンはエンドレス史上最も開発が進んだ1年だったように感じます。ブレーキはもちろん、Functionサスペンションの進化が素晴らしく、毎レースサーキットに来るのが楽しみでした。

我々がサーキットで鍛えた製品をいち早くエンドレスファンの皆様にお届けできるよう、これからもチャレンジを続けていきたいと思います。たくさんの応援ありがとうございました!

●Dドライバー 島谷 篤史

最終戦の富士も前回のオートポリス同様に小河選手主導でセットアップを行い、他のドライバーが確認走行する流れでセッティングを煮詰めて行きました。その中で思う様にタイムが伸びない状況もありましたが、そこで迷うこと無く決勝を見据えたセッティングが出来たことが良かったと思います。

特に今回新しく持ち込んだENDLESSのFunctionサスペンションが良い仕事をしてくれましたし、ブレーキシステムも安定した効きとコントロール性を発揮してくれました。

シーズンを通して完璧なクルマを準備してくれたエンジニア、メカニック、チームスタッフの皆さん、そして今回も素晴らしい走りで勝利に導いてくれた坂選手、小河選手、菅波選手、本当にありがとうございました!エンドレスファンの皆様も、熱い応援ありがとうございました!

●監督 中村 稔弘

予選に関してはセッティングと路面との相性が良くなく、坂選手は予選6番手と振るわなかったですが、菅波選手は富士24時間のときのベストタイムと同じ1分55秒8が出ており、クルマのバランス的には悪くないかなと思っていました。タイヤに優しくコンスタントラップを稼げるセットは見つかりましたが、一発タイムは出にくいセットという面もあり、そこは来年に向けての課題だと思います。

決勝は菅波選手スタートで坂選手にバトンタッチ、そこから小河選手が乗り、最終バッターにつなぐ予定でした。燃費的に3本-1本-1本給油のプランで行ける計算ではなかったですが、小河選手と菅波選手の頑張りもあり、3本-1本-1本給油でゴールすることができました。

足回りのセッティングはオートポリスと同様にタイヤの摩耗を抑えられ、タイヤが摩耗しても良いラップタイムを出せるようにすることができました。燃費的にも3本-1本-1本給油のプランで行ける計算ではなかったですが、小河選手による我慢の燃費走行とそのセッティングにより、最後も1本給油で行くことができました。みんなで勝ち取った優勝になりました。

菅波選手の速さ、坂選手のペースも良く、小河選手の技の光る燃費走行、すべてが噛み合いました。島谷選手も乗ってもらいたかったのですが、暗闇のチェッカーとのことで不安もあり、菅波選手に最終バッターをしてもらいました。

今回はシリーズチャンピオンとなった#884 GR86が序盤でトラブルになってしましたが、今日の仕上がりなら#884 GR86ともいい勝負ができたと思います。お互いまた全力でレースをしてみたいなと思います。

皆さんの応援もあり、チームとして団結することでシリーズ2位になることができました。ありがとうございました。