レースレポート
スーパー耐久シリーズ 2026 Empowered by BRIDGESTONE 13号車
第3戦 富士スピードウェイ 24時間レース
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マシン #13 ENDLESS GRYARIS 参戦クラス ST-2クラス
Aドライバー/花里 祐弥
Bドライバー/石坂 瑞基
Cドライバー/伊東 黎明
Dドライバー/岡田 整
監督 / 斎藤 亮佑

<#13 ENDLESS GRYARIS>


今季のシビック勢の速さは圧倒的で、予選では1秒以上の差をつけられる場面もある。また燃費面でも、排気量の小さいGRヤリスは高回転・ハイブーストを維持して走行する必要があるため不利な状況にあり、燃料タンク容量でもアドバンテージはない。さらに信頼性も向上しており、GRヤリスにとってシビック勢は非常に強力なライバルとなっている。

一方、マシンパフォーマンスの向上により、第2戦鈴鹿では#13 ENDLESS GR YARISが2位表彰台を獲得。鈴鹿戦までに施した改良に加え、今回は富士24時間レースに向けてさらなるブラッシュアップを実施した。サスペンションセッティングを見直したほか、エンジンではダクト配置を最適化し、さらなるパワーを引き出せる仕様としている。また、レギュレーション改訂により燃料タンク容量も3Lの増量が認められ、わずかながら戦略面でのアドバンテージも得た。

現在、#13 ENDLESS GR YARISはシリーズランキング2位につけており、シーズン中盤から終盤にかけてもコンスタントにポイントを積み重ね、タイトル争いを展開していきたい。その意味でも、多くのポイントを獲得できる富士24時間は重要な一戦となる。チームは2023年、2024年にクラス連覇を達成したものの、昨年はマシントラブルに見舞われ、3連覇を逃した。今年は再びクラス優勝を勝ち取り、シリーズランキング首位への浮上を目指す。
予選
A 花里 祐弥 1'53.642 クラス6番手

B 石坂 瑞基 1'52.899 クラス6番手

C 伊東 黎明 1'54.708 クラス3番手

D 岡田 整 1'55.870 クラス5番手

→予選結果:6位/9台中


これまでアンダーステアに悩まされていたGRヤリスだったが、予選までにセッティングを見直したことで旋回性能が向上。フロントタイヤの摩耗も抑えられ、24時間耐久レースを見据えたマシン作りを進めることができた。予選では花里、石坂の両ドライバーがミスなくアタックをまとめ、クラス6番手を獲得。グリッドこそ上位ではなかったものの、決勝に向けては順位以上の手応えを得られる予選となった。

また、伊東と岡田はフルタンクに中古タイヤを組み合わせた仕様でロングランを実施し、マシンバランスを確認。夜間走行を想定した夕方のセッションでも安定したラップを刻み、決勝に向けて順調な仕上がりを見せた。後期型GRヤリスへのマシンチェンジ後、初優勝を目指して24時間レースに挑む。

決勝
決勝結果:優勝

6月6日(土)、富士スピードウェイは予報よりも雲が広がり、気温はやや低め。グリッドウォーク中には日差しが差し込む場面もあったものの、24時間レースのスタートとしては過ごしやすいコンディションとなった。決勝中の天候はおおむね安定すると予想されていたが、レース終盤には雨が降り出す予報。勝敗を左右する要素として、そのタイミングが大きなポイントとなりそうだった。

スタートドライバーは石坂。序盤は石坂と花里でAドライバーの最低乗車時間を早めに消化し、その後は伊東へバトンをつなぐ。夜間はナイトスティントを得意とする岡田を中心に走行し、終盤はペースに優れる石坂と伊東を軸に勝負をかける戦略で富士24時間の決勝へ挑んだ。

石坂はスタート直後から安定したペースで周回を重ね、6番手をキープ。44周目(16時26分)に花里へ交代し、タイヤはフロント2本のみを交換した。このピットストップ中に#95 SPOON リジカラ CIVICがトラブルでピットインしたこともあり、#13 ENDLESS GR YARISは4番手でコースへ復帰する。

レース開始から約2時間が経過したところでST-5クラスの車両がコースサイドにストップし、1回目のFCYが導入された。この時点では#13 ENDLESS GR YARISはピット戦略を変更せず、コース上にステイして走行を続けた。

88周目(17時55分)に2回目のピットイン。花里は2番手まで順位を上げて伊東へバトンをつなぎ、4輪のタイヤを交換してコースへ復帰する。その後も安定したペースで周回を重ね、日没が近づいた頃に3回目のピットストップを実施。伊東から岡田へ交代し、本格的なナイトセッションへと突入した。

夜間走行に向けて事前テストを重ねてきた岡田は、今年も安定したラップを刻みながらトップへ浮上。20時37分頃には2回目のFCYが導入されたものの、大きな順位変動はなく、その後は石坂へとステアリングを託した。

224周目には再び岡田が乗車。フロントタイヤのみを交換し、石坂のスティントを挟みながら夜間走行を担当。チームは計画どおりのローテーションで24時間レース前半を着実に消化していった。

次のピットストップで岡田から伊東へドライバー交代。ここで#13 ENDLESS GR YARISはレース戦略を変更した。それまでタイヤ交換はフロントを毎回、リアを2回のピットストップに1回の頻度で行っていたが、ライバル勢のペースを考えると、このままでは追い切れないと判断。リアタイヤの交換頻度を3回のピットストップに1回まで減らし、ピット滞在時間の短縮を図る作戦へ切り替えた。

当然ながら3スティント目のリアタイヤはグリップの低下が避けられない。しかし、その厳しいコンディションを経験豊富な伊東が担当することでタイムの落ち込みを最小限に抑え、戦略を成立させる狙いだ。以降もリアタイヤが3スティント目となる場面は伊東が受け持ち、ドライバーごとの役割を明確にしながらレースを進めていく。

22時36分、ダンロップコーナーで停止車両が発生し、この日3回目となるFCYが導入される。しかし、コースへ復帰したばかりだった#13 ENDLESS GR YARISに順位面で大きな影響はなかった。

270周目にピットインし、岡田から伊東へ交代。タイヤはフロントのみを新品に交換し、リアは交換せずにスティントを続行した。0時15分頃にもFCYが導入されたが、短時間で解除となる。

316周目、深夜1時30分過ぎにピットインし、伊東から石坂へ交代。このタイミングでタイヤ4本を交換した。伊東はグリップが低下した3スティント目のリアタイヤを履きながらも、安定して好タイムを刻み続け、作戦どおりの走りを見せた。

361周目には石坂から岡田へ交代。タイヤはフロントを新品、リアは2スティント目という組み合わせとした。これは岡田が常に同じタイヤコンディションで走行できるよう調整したもので、伊東と同様に担当するスティントごとの条件を統一することで、ドライバーが安定したペースを維持しやすくする狙いがあった。

400周を迎えた時点で、#13 ENDLESS GR YARISは首位に対して約1分30秒差。ライバルとの差は徐々に広がりつつあったが、チームは当初の戦略を崩さずレースを進める。407周目のピットストップでは岡田から伊東へ交代し、フロントタイヤのみを交換。リアタイヤは3スティント目を継続し、ピット作業時間の短縮を優先した。

424周目には首位を走る#72 OHLINS CIVIC NATSがメンテナンスタイム消化のためピットインし、#13 ENDLESS GR YARISがトップへ浮上。しかし、自チームもメンテナンスタイムを残しており、実質的には約1分30秒のビハインドを抱えた状況だった。

452周目には伊東から花里へ交代し、タイヤ4本を新品へ交換。夜が明け、レースはいよいよ残り9時間を迎える。

494周目、午前7時30分頃にメンテナンスタイムを消化。ブレーキパッドとタイヤを交換し、石坂へドライバー交代した。ブレーキパッドは交換時期を綿密にシミュレーションしており、残量は想定どおり限界に近い状態。それでも計画どおりのタイミングで作業を終え、マシンに異常がないことを確認して戦列へ復帰した。

午前9時頃になると、コース上には雨粒が落ち始める。540周目のピットストップでは石坂から花里へ交代したが、チームはスリックタイヤを継続する判断を下した。フロントタイヤのみを新品に交換し、4WDならではのトラクション性能を生かして走行を続ける。この判断が功を奏し、花里は滑りやすい路面でも安定してハイペースを維持した。

586周目には花里から伊東へ交代。その直後、ホームストレートから1コーナーにかけて雨脚が一気に強まる。首位の#72はウエットタイヤへ交換した一方、#13 ENDLESS GR YARISはあえてスリックタイヤを履き続ける勝負に出た。

すると雨はほどなく小康状態となり、状況は一変する。レインタイヤを装着したライバル勢はタイヤの摩耗とラップタイムの両面で苦戦を強いられ、その隙を突いて伊東が猛烈な追い上げを開始。1周あたり約3秒のペースで首位との差を縮め、ギャップは50秒を切る。600周目には、その差は約40秒まで縮まっていた。

607周目、#72が再びピットへ向かったことで#13 ENDLESS GR YARISが首位に浮上。20時間以上を戦い抜いた末につかんだトップだったが、チェッカーまではなお3時間30分以上を残しており、勝負はまだ終わっていない。

残り3時間を迎えた時点で、#13 ENDLESS GR YARISは首位を走行。2位の#72との差は1分16秒まで広がっていた。632周目のピットストップでは伊東から石坂へ交代し、一時的に2番手へ後退するものの、伊東はスリックタイヤのまま濡れた路面を巧みに攻略し、大きなマージンを築くことに成功。この後は石坂、そして再び伊東へとつなぎ、燃費と残りのピット回数を見据えながらチェッカーを目指す。

12時31分には停止車両の発生によりFCYが導入される。燃料をぎりぎりまで使い切る戦略を採っていた#13 ENDLESS GR YARISにとって、燃料消費を抑えられるFCYは追い風となった。

12時40分、首位の#72がピットインしたことで#13 ENDLESS GR YARISが再びトップへ浮上。675周目、残り1時間25分で最後のピットストップを終え、予定どおり石坂から伊東へバトンをつなぐ。ペースを維持できれば優勝は目前だったが、再び雨が降り出す予報となっており、最後まで気の抜けない展開が続いた。

残り27分には走路外走行の繰り返しにより黒白旗が提示される。次の違反はペナルティにつながるため、伊東は冷静な走りでマシンをコントロールし続けた。

そして残り15分。予報どおり雨脚が強まり、ウエットタイヤへ交換するチームも現れる。しかし、#13 ENDLESS GR YARISはスリックタイヤのまま走行を継続。2位との差は約1分あり、無理をすることなく確実にラップを重ねていく。

伊東は変わりゆく路面コンディションの中でも最後までミスなく走り切り、トップでチェッカー。後期型GR YARISへのスイッチ後、初の富士24時間優勝を飾った。

予選では6番手と、一発の速さではシビック勢やランサーエボリューション勢に及ばなかった。しかし、コンスタントラップを追求して積み重ねてきた事前テスト、状況に応じたタイヤ戦略、緻密な燃費計算、そして24時間を通してミスのないドライビングとピットワーク。そのすべてがかみ合ったことでつかみ取った勝利だった。

24時間レースは、速さだけでは勝てない。高い信頼性を備えたマシン、正確なピット作業、ドライバーの安定したパフォーマンス、そして状況に応じて最適な判断を下すチーム力。そのすべてを高いレベルで発揮した#13 ENDLESS GR YARISが、富士で再び頂点に立った。

【FCY導入】
1回目:16:54'53(65Laps)-16:58'46(66Laps)
2回目:20:38'03(189Laps)-20:40'05(189Laps)
3回目:21:48'52(229Laps)-21:52'44(229Laps)
4回目:22:36'48(254Laps)-22:39'30(255Laps)
5回目:0:11'01(306Laps)-0:17'00(308Laps)
6回目:0:38'32(320Laps)-0:41'26(320Laps)
7回目:4:36'26(453Laps)-4:37'05(453Laps)
8回目:12:31'35(712Laps)-12:36'32(713Laps)


Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。

https://supertaikyu.com/
ドライバー・監督コメント
●Aドライバー 花里 祐弥

今大会よりブレーキキャリパーの変更申請タイミングということで、大幅なアップデートを行いました。具体的にまずフロントキャリパーですが、ダクトレスのクルマのため、剛性を高めるキャリパーブリッジがあるのですが、放熱が多少足りない部分がありましたので、そこにルーバーを追加しました。

フィーリングは安定していて、剛性、軽さ、形状それぞれに意味があり重要性を理解できました。また、リアキャリパーについては、弊社のキットは鍛造型の物を小加工してキットにしていますが、GRヤリス、カローラは、純正のシリンダー径が非常に小さくなります。なので RacingMONO4rTAですとどうしてもアルミ部分が多くなり、消費液量のバランスも悪くなる傾向がありました、そこで応力に耐えられる様に計算をして大幅な軽量化をしました!これがすごくてABSの介入の仕方も変わるほどで武器になりました

24時間は誰1人ミスもなく、確実に仕事をしたことで優勝することが出来ました。長く苦労してきたメンバーなので本当に報われた気分です!また応援来てくださった皆様へも恩返しが出来まして良かったです!

後半戦も気を引き締めて挑んでいきます!応援ありがとうございました!

●Bドライバー 石坂 瑞基

昨年は3連覇を逃してしまった24時間レースでしたので、今年はリベンジするという強い気持ちで臨みました。チームの皆さんがあらゆることを想定して一生懸命に準備してくれました。ダンパー、MBRはもちろんキャリパーも軽くて剛性は保たれたものに短い時間の中改良して頂きました。その甲斐あって走り出しからロングのペースは良く、自信を持って決勝へ挑める車になりました。

スタートから周りのペースが速くて焦りましたが、自分達の持っているペースを最大限引き出して走りました。最後まで72号車との一騎打ちになりましたが、作戦と皆んなの頑張りでトップチェッカーを受けることができ感無量です。これまでの24時間レースの中で1番タフなレースでしたが、その中で速さと強さを見せられたのは本当に自信になりました。

これでランキングもトップに立ったので今年こそはシリーズチャンピオン獲得出来るよう更に気を引き締めて頑張ります。

●Cドライバー 伊東 黎明

このチーム、メンバーで5回目の24時間レースを終えました。鈴鹿大会では今まで以上にマシンのパフォーマンスとスピードを確信し、24時間に向けての手応えを感じました。このレースの間にテストも行い、高いクルマのレベルを維持していることも確認しました。

台風で1日遅れのレースウィークとなった初日は、足回り部品を新品交換したことによる初期馴染みから、思うような動きにならないこともありましたが、その問題を解決してからはマシンバランスが改善し、それに併せてタイムも向上しました。

6番手からのスタートとなった決勝は、トップの車両がどんどんと下位を引き離しにかかるのに対して13号車は周りの影響でうまくタイムを伸ばせず、2ndスティント以降は守るところは守りながら、逆転する為に全力で走ることを余儀なくされました。

自分のスティントは計5スティント。そのうち3スティントをタイヤ無交換で走りました。以前まではタイヤ無交換で走ることなど頭にもありませんでしたが、今週はそれができるマシンバランスとパフォーマンスの高さがありました。終盤では一気に降り始めた雨をスリックで粘ったことにより、一気に逆転し13号車に有利な状況を作ることができました。

最終スティントを担当し、中盤から少しずつ強くなる雨でウエットコンディションになる路面を、後ろとのギャップを気にしながら確実に車をゴールへ運ぶことだけを考え、無事に2年ぶりの優勝を飾ることができました。

新車になってから苦しい思いを沢山してきた分、今回の優勝は展開もチーム力で勝ちきったものでありより特別なものになりました。

まだ手にしていないのはチャンピオンのみです。次戦SUGOはまた1ヶ月後に行われますし、GRヤリスの得意コースでもあると思うので、チャンピオンに近づくために再び頑張ります。応援ありがとうございました!

●Dドライバー 岡田 整

昨年3連覇達成出来なかった富士24時間。この2年間、他の大会でも優勝出来ていなかった僕らは、この大会で優勝できるようにチーム、ドライバーと共に、前回のもてぎ、鈴鹿戦で見えた方向性をよりアップデートし、レースウィークを迎えました。

水曜が台風にて中止と、週末も雨が絡みそうな不安定な天候の中、予選、決勝へのセットアップを進め、いよいよ決勝となり、ここ数年トラブルに見舞われておりましたが、今年は大きなトラブルもなく、メカニック・ドライバー・チームでミスなく走り、2年ぶりの優勝。このチームで久々の優勝が富士24時間となり、本当に嬉しかったです。

いつも応援頂いている皆様と共に、優勝という最高の時間を、共有出来た事に感謝致します。次戦のSUGO戦も、変わらぬ応援をよろしくお願い致します。

●監督 斎藤 亮佑

まず今回の24時間レースでクラス優勝できたこと、本当に嬉しいです。スポンサーの皆様、応援して頂いた皆様ありがとうございます。

S耐への参戦を通して、ブレーキ、サスペンションの開発・改良を進めるエンドレスですが、シリーズ最長の24時間レースでクラス優勝できたことで自社製品の性能、信頼性、耐久性を証明することができました。開発部、ジール事業部、設計部の真剣な取組みにも報いることができたかなと思います。

決勝中は燃費よく、タイヤ傷めず、クルマをいたわりながらかつタイム落とさないで欲しいなど、ドライバーには無茶な要求をしたりしましたがしっかりと応えてくれました。

細かくレースコントロールしてくれたエンジニア。毎ピット、ライバルチームからアドバンテージを作ってくれたメカニック、皆が過ごしやすいようサポートしてくれたスタッフ、皆のおかげで勝てたレースで心から感謝しています。

シビック、ランサー勢に対してスピードで足りない部分はありますが、力を合わせて後半戦も戦っていけたらと思います。引き続き応援よろしくお願い致します。