決勝結果:優勝
6月6日(土)、富士スピードウェイは予報よりも雲が広がり、気温はやや低め。グリッドウォーク中には日差しが差し込む場面もあったものの、24時間レースのスタートとしては過ごしやすいコンディションとなった。決勝中の天候はおおむね安定すると予想されていたが、レース終盤には雨が降り出す予報。勝敗を左右する要素として、そのタイミングが大きなポイントとなりそうだった。
スタートドライバーは石坂。序盤は石坂と花里でAドライバーの最低乗車時間を早めに消化し、その後は伊東へバトンをつなぐ。夜間はナイトスティントを得意とする岡田を中心に走行し、終盤はペースに優れる石坂と伊東を軸に勝負をかける戦略で富士24時間の決勝へ挑んだ。
石坂はスタート直後から安定したペースで周回を重ね、6番手をキープ。44周目(16時26分)に花里へ交代し、タイヤはフロント2本のみを交換した。このピットストップ中に#95 SPOON リジカラ CIVICがトラブルでピットインしたこともあり、#13 ENDLESS GR YARISは4番手でコースへ復帰する。
レース開始から約2時間が経過したところでST-5クラスの車両がコースサイドにストップし、1回目のFCYが導入された。この時点では#13 ENDLESS GR YARISはピット戦略を変更せず、コース上にステイして走行を続けた。
88周目(17時55分)に2回目のピットイン。花里は2番手まで順位を上げて伊東へバトンをつなぎ、4輪のタイヤを交換してコースへ復帰する。その後も安定したペースで周回を重ね、日没が近づいた頃に3回目のピットストップを実施。伊東から岡田へ交代し、本格的なナイトセッションへと突入した。
夜間走行に向けて事前テストを重ねてきた岡田は、今年も安定したラップを刻みながらトップへ浮上。20時37分頃には2回目のFCYが導入されたものの、大きな順位変動はなく、その後は石坂へとステアリングを託した。
224周目には再び岡田が乗車。フロントタイヤのみを交換し、石坂のスティントを挟みながら夜間走行を担当。チームは計画どおりのローテーションで24時間レース前半を着実に消化していった。
次のピットストップで岡田から伊東へドライバー交代。ここで#13 ENDLESS GR YARISはレース戦略を変更した。それまでタイヤ交換はフロントを毎回、リアを2回のピットストップに1回の頻度で行っていたが、ライバル勢のペースを考えると、このままでは追い切れないと判断。リアタイヤの交換頻度を3回のピットストップに1回まで減らし、ピット滞在時間の短縮を図る作戦へ切り替えた。
当然ながら3スティント目のリアタイヤはグリップの低下が避けられない。しかし、その厳しいコンディションを経験豊富な伊東が担当することでタイムの落ち込みを最小限に抑え、戦略を成立させる狙いだ。以降もリアタイヤが3スティント目となる場面は伊東が受け持ち、ドライバーごとの役割を明確にしながらレースを進めていく。
22時36分、ダンロップコーナーで停止車両が発生し、この日3回目となるFCYが導入される。しかし、コースへ復帰したばかりだった#13 ENDLESS GR YARISに順位面で大きな影響はなかった。
270周目にピットインし、岡田から伊東へ交代。タイヤはフロントのみを新品に交換し、リアは交換せずにスティントを続行した。0時15分頃にもFCYが導入されたが、短時間で解除となる。
316周目、深夜1時30分過ぎにピットインし、伊東から石坂へ交代。このタイミングでタイヤ4本を交換した。伊東はグリップが低下した3スティント目のリアタイヤを履きながらも、安定して好タイムを刻み続け、作戦どおりの走りを見せた。
361周目には石坂から岡田へ交代。タイヤはフロントを新品、リアは2スティント目という組み合わせとした。これは岡田が常に同じタイヤコンディションで走行できるよう調整したもので、伊東と同様に担当するスティントごとの条件を統一することで、ドライバーが安定したペースを維持しやすくする狙いがあった。
400周を迎えた時点で、#13 ENDLESS GR YARISは首位に対して約1分30秒差。ライバルとの差は徐々に広がりつつあったが、チームは当初の戦略を崩さずレースを進める。407周目のピットストップでは岡田から伊東へ交代し、フロントタイヤのみを交換。リアタイヤは3スティント目を継続し、ピット作業時間の短縮を優先した。
424周目には首位を走る#72 OHLINS CIVIC NATSがメンテナンスタイム消化のためピットインし、#13 ENDLESS GR YARISがトップへ浮上。しかし、自チームもメンテナンスタイムを残しており、実質的には約1分30秒のビハインドを抱えた状況だった。
452周目には伊東から花里へ交代し、タイヤ4本を新品へ交換。夜が明け、レースはいよいよ残り9時間を迎える。
494周目、午前7時30分頃にメンテナンスタイムを消化。ブレーキパッドとタイヤを交換し、石坂へドライバー交代した。ブレーキパッドは交換時期を綿密にシミュレーションしており、残量は想定どおり限界に近い状態。それでも計画どおりのタイミングで作業を終え、マシンに異常がないことを確認して戦列へ復帰した。
午前9時頃になると、コース上には雨粒が落ち始める。540周目のピットストップでは石坂から花里へ交代したが、チームはスリックタイヤを継続する判断を下した。フロントタイヤのみを新品に交換し、4WDならではのトラクション性能を生かして走行を続ける。この判断が功を奏し、花里は滑りやすい路面でも安定してハイペースを維持した。
586周目には花里から伊東へ交代。その直後、ホームストレートから1コーナーにかけて雨脚が一気に強まる。首位の#72はウエットタイヤへ交換した一方、#13 ENDLESS GR YARISはあえてスリックタイヤを履き続ける勝負に出た。
すると雨はほどなく小康状態となり、状況は一変する。レインタイヤを装着したライバル勢はタイヤの摩耗とラップタイムの両面で苦戦を強いられ、その隙を突いて伊東が猛烈な追い上げを開始。1周あたり約3秒のペースで首位との差を縮め、ギャップは50秒を切る。600周目には、その差は約40秒まで縮まっていた。
607周目、#72が再びピットへ向かったことで#13 ENDLESS GR YARISが首位に浮上。20時間以上を戦い抜いた末につかんだトップだったが、チェッカーまではなお3時間30分以上を残しており、勝負はまだ終わっていない。
残り3時間を迎えた時点で、#13 ENDLESS GR YARISは首位を走行。2位の#72との差は1分16秒まで広がっていた。632周目のピットストップでは伊東から石坂へ交代し、一時的に2番手へ後退するものの、伊東はスリックタイヤのまま濡れた路面を巧みに攻略し、大きなマージンを築くことに成功。この後は石坂、そして再び伊東へとつなぎ、燃費と残りのピット回数を見据えながらチェッカーを目指す。
12時31分には停止車両の発生によりFCYが導入される。燃料をぎりぎりまで使い切る戦略を採っていた#13 ENDLESS GR YARISにとって、燃料消費を抑えられるFCYは追い風となった。
12時40分、首位の#72がピットインしたことで#13 ENDLESS GR YARISが再びトップへ浮上。675周目、残り1時間25分で最後のピットストップを終え、予定どおり石坂から伊東へバトンをつなぐ。ペースを維持できれば優勝は目前だったが、再び雨が降り出す予報となっており、最後まで気の抜けない展開が続いた。
残り27分には走路外走行の繰り返しにより黒白旗が提示される。次の違反はペナルティにつながるため、伊東は冷静な走りでマシンをコントロールし続けた。
そして残り15分。予報どおり雨脚が強まり、ウエットタイヤへ交換するチームも現れる。しかし、#13 ENDLESS GR YARISはスリックタイヤのまま走行を継続。2位との差は約1分あり、無理をすることなく確実にラップを重ねていく。
伊東は変わりゆく路面コンディションの中でも最後までミスなく走り切り、トップでチェッカー。後期型GR YARISへのスイッチ後、初の富士24時間優勝を飾った。
予選では6番手と、一発の速さではシビック勢やランサーエボリューション勢に及ばなかった。しかし、コンスタントラップを追求して積み重ねてきた事前テスト、状況に応じたタイヤ戦略、緻密な燃費計算、そして24時間を通してミスのないドライビングとピットワーク。そのすべてがかみ合ったことでつかみ取った勝利だった。
24時間レースは、速さだけでは勝てない。高い信頼性を備えたマシン、正確なピット作業、ドライバーの安定したパフォーマンス、そして状況に応じて最適な判断を下すチーム力。そのすべてを高いレベルで発揮した#13 ENDLESS GR YARISが、富士で再び頂点に立った。
【FCY導入】
1回目:16:54'53(65Laps)-16:58'46(66Laps)
2回目:20:38'03(189Laps)-20:40'05(189Laps)
3回目:21:48'52(229Laps)-21:52'44(229Laps)
4回目:22:36'48(254Laps)-22:39'30(255Laps)
5回目:0:11'01(306Laps)-0:17'00(308Laps)
6回目:0:38'32(320Laps)-0:41'26(320Laps)
7回目:4:36'26(453Laps)-4:37'05(453Laps)
8回目:12:31'35(712Laps)-12:36'32(713Laps)
Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。
https://supertaikyu.com/