6月6日(土)の富士スピードウェイは、朝から涼しく過ごしやすい天候となった。午後には時折日差しも見られたが、レーススタート時は曇り空で気温は約20℃。天気予報では日曜日の昼頃から雨が予想されていたものの、富士24時間レースは天候が急変しやすいだけに、チームもドライバーも気の抜けない状況だ。
14時59分、24時間にわたる決勝レースがスタート。スタートドライバーは坂裕之が務めた。Aドライバーには最低3時間の乗車義務が課されているため、レース序盤からその消化を進める作戦だ。その後は菅波、小林、岡本へと繋ぎ、島谷は明け方からの乗車を予定する。
ポールポジションからスタートした坂は、1コーナーまでに#41へ先行を許したものの、2番手をキープしながら安定したペースで周回を重ねる。スタートから約1時間半後の45周目に最初のピットインを実施。坂から菅波へ交代し、タイヤ4本を交換して6番手でコースへ復帰した。
菅波は着実に順位を上げ、2番手まで浮上。スタートから約2時間が経過しようとした頃、ST-5クラス車両がコース脇に停止したことで、このレース最初のFCY(フルコースイエロー)が導入された。
18時過ぎの91周目には再びピットインし、菅波から小林へ交代。今年加入した小林は薄暗くなり始めた時間帯でも落ち着いた走りを見せる。その後、夕方のセッションを終えて岡本へ交代。助っ人ドライバーながら、初めての決勝走行が夜間スティントとなったが、安定したペースで周回を重ねた。
20時37分頃には2度目のFCYが導入されるも問題なく対応し、首位を走る#41を追走。183周目に岡本から菅波へ交代した時点でも、その差は約25秒だった。
22時36分にはダンロップコーナーで停止車両が発生しFCYが導入されたが、このタイミングではピットインできず。22時50分過ぎの228周目にピットへ戻り、菅波から小林へ交代して2位でコースへ復帰した。
ところが直後の23時頃、小林からST-2クラスの#743 Honda R&D Challenge FL5との接触があったとの無線が入る。ピットには緊張が走ったが、幸い大きなダメージはなく、そのまま走行を継続した。
深夜0時30分の274周目に岡本へ交代。さらに319周目、午前2時過ぎに菅波へスイッチする。この時点で首位との差は約19秒。なかなか差は縮まらないものの、着実にプレッシャーをかけ続ける。すると322周目、菅波が1分57秒993のチームベストタイムを記録し、その差を12.8秒まで縮めた。
午前3時半の364周目、小林へ交代。その直前には#41もピット作業を行っており、両者の差はわずか。今大会は給油量に関係なく最低ピット滞在時間が定められているため、作業時間で差を縮めることはできない。アウトラップでいかに速く走れるかが勝負のポイントとなった。
370周目、小林の追い上げによって首位との差は約5秒にまで縮小。375周目にはついにトップへ浮上するも、直後に抜き返される。しかし夜明けを迎えつつある富士スピードウェイで激しい首位争いを展開し、377周目には再びトップを奪取。そのままプッシュを続け#41との差を約13秒まで広げると、ここで#41がメンテナンスタイム消化のためピットイン、一時的にリードが拡大することとなる。
午前5時過ぎの409周目には岡本へ交代。完全に夜が明けたなか、岡本はこのマシンでの初レースとは思えない安定感を発揮する。454周目には坂へ交代し、トップを維持しながらメンテナンスタイム未消化分を考慮して少しでもマージンを築いていく。
496周目には島谷へ交代。ENDLESSキャリパーの設計を担当する島谷にとって、これが今大会最初のスティントとなった。昨年は接触アクシデントに見舞われたが、今年は順調に周回を重ねる。同時に、自ら設計したキャリパーが12時間以上の連続走行でどのようなフィーリングを示すかを、自身のドライビングで確認した。
519周目には再び坂へ交代。給油やタイヤ交換を行わないスプラッシュピットでドライバーのみを交代し、Aドライバーの最低乗車時間達成を目指す。
午前9時を過ぎるとコース全域で雨が降り始めた。予報より早い降雨に、チームは路面状況と最新の天気予報を見極めながら戦略を検討する。レインタイヤへの交換も選択肢にあったが、タイヤライフを考慮すると判断は難しい。このタイヤ選択が勝負の大きな分岐点となった。
9時37分、ホームストレートで停止車両が発生。FCY導入の可能性も見据え、540周目にピットインしてメンテナンスタイムを消化した。フロントブレーキパッドを交換し、リアは点検の結果交換不要と判断。坂から菅波へ交代しコースへ復帰した。
その後、一時的に雨は止んだものの、10時40分頃からホームストレートから1コーナーにかけて再び強い雨が降り始める。首位の#41はレインタイヤへ交換したが、#3 ENDLESS GR86は菅波のインフォメーションを信頼し、スリックタイヤのままステイアウトを選択した。
この判断は見事に的中する。雨脚はすぐに弱まり、スリックタイヤ勢が1周あたり約2秒速いペースで走行。菅波は猛烈な追い上げを見せ、578周目には首位との差を4秒まで縮める。そして580周目、ついにトップへ浮上した。
一方の#41は再びピットへ入り、レインタイヤからスリックタイヤへ交換。583周目に#3 ENDLESS GR86もピットインし、給油とフロントタイヤ交換を実施した。ピット作業中に首位を譲ったものの、燃料戦略を考慮すると実質的なレースリーダーとみられていた。
残り3時間の時点では、トップが#41、#3 ENDLESS GR86が2位。燃料搭載量や15kgのサクセスウエイト差もあり、その差は約52秒まで広がっていた。
12時31分には停止車両発生によりFCYが導入される。菅波の連続乗車時間制限も迫るなか、623周目にピットインして小林へ交代。フルサービスを行い、最後の勝負へ挑んだ。
しかし13時50分、小林から無線が入り緊急ピットイン。ST-Xクラス車両との接触によりラジエーターが損傷してしまう。これにより優勝争いからは脱落となってしまった。一方で、4位以下とは十分な差があったため、迅速に修復を終えれば表彰台圏内は維持できる状況。
メカニック総出で作業を進め、14時21分にコースへ復帰。再度ピットインして修復箇所の最終確認を行った後、3位表彰台圏内を維持したままレースへ戻ることに成功した。
最終盤は小林が再びステアリングを握り、トラブルやペナルティなくチェッカーまで走り切る。優勝、そして2位も十分に狙える展開だっただけに悔しさは残ったが、各ドライバーが確実にバトンを繋ぎ、アクシデントを乗り越えて3位表彰台を獲得した意義は大きい。
また、大量ポイントが懸かる富士24時間レースで確実に得点を積み重ねたことは、シリーズチャンピオン奪還を目指すチームにとって大きな成果となった。
【FCY導入】
1回目:16:54'53(65Laps)-16:58'46(66Laps)
2回目:20:38'03(189Laps)-20:40'05(189Laps)
3回目:21:48'52(229Laps)-21:52'44(229Laps)
4回目:22:36'48(254Laps)-22:39'30(255Laps)
5回目:0:11'01(306Laps)-0:17'00(308Laps)
6回目:0:38'32(320Laps)-0:41'26(320Laps)
7回目:4:36'26(453Laps)-4:37'05(453Laps)
8回目:12:31'35(712Laps)-12:36'32(713Laps)
Super 耐久の詳細については、チームの公式ウェブサイトをご覧ください。
https://supertaikyu.com/