新井敏弘、殊勲の6位入賞!
概要
Photo2008年のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)がついに開幕、2月7日〜10日、スウェーデン南西部のカールスタッドを舞台に「スウェディッシュ・ラリー」が開催され、ENDLESSのサポートドライバー、新井敏弘も伝統のスノー戦にチャレンジした。

05年、07年の王者である新井は今季の開幕戦に合わせてGRB型のニューマシン「インプレッサWRX STI」を投入するほか、トニー・サーカムの引退に伴い、コドライバーをグレン・マクニールに変更するなど体制を一新。ラリーウィークは積雪量が不足し、異例のグラベルコンディションとなるほか、新型マシンのパワー不足とセッティング不足に苦戦を強いられるものの、新井は最後まで粘り強い走りを披露、6位入賞を果たし、3ポイントを獲得している。
イベントの特徴/コースコンディション
Photo冬のスウェディッシュ・ラリーは長い伝統を持つスノー戦で、ホストタウンをスウェーデンの首都、ストックホルムから西へ約350kmの距離に位置する「カールスタッド」に設定。ここ数年はサービスパークをカールスタッドから北へ約100kmの距離に位置する「ハグフォース」に設定し、その周辺の山岳地帯にステージが設定されていたのだが、今季はヘッドクォーターとサービスパークをカールスタッドの競馬場に集約し、それに合わせてリモートサービスと新ステージを採用したフォーマットに変更された。

例年は氷点下20℃という厳しい寒さに包まれ、ステージも雪と氷に覆われているのだが、近年は地球温暖化の影響で気温が上昇し、今季もラリーウィークは氷点下4℃から7℃という暖かいコンディション。スウェディッシュ・ラリーでは雪上、氷上での走行に合わせてスタッドタイヤが使用されているのだが、今季は路面状況も積雪量が不足し、午後のリピートステージがグラベル状態に……。その結果、デイ2のSS12、デイ3のSS18がキャンセルになるなど過酷なコンディションのなかでラリーが争われることとなった。

とはいえ、ステージは高速コースを中心としたレイアウトで、エンジンパワーとともに制動性能が求められる1戦。PWRC屈指のハイスピードラリーとなっている。
レポート
開幕戦に新型インプレッサを投入!
セッティングに苦戦しながらも粘り強い走りを披露
 
PhotoPWRCの初戦となるスウェディッシュ・ラリーが2月7日、カールスタッド市内の競馬場に設定されたスーパーSSで幕を開けた。ラリーウィークに行なわれた合同テストで地元フィンランド勢に1kmあたり約1秒あたりのマージンを築くなど、順調な仕上がりを見せていた新井だったが、同ステージを12番手タイムでフィニッシュ。

翌8日には林道ステージを舞台に本格的な競技がスタートするものの、「ターボの形式変更が原因か分からないけど、5速の3500回転からパワーが出てこない。それに足まわりも熟成不足で、リアのパンプが激しい。いろいろ試しながら走っているんだけど厳しい状態だね」と語るようにSS2で9番手タイム、SS3で6番手タイム、SS4で7番手タイムに出遅れるほか、午後のリピードステージでもSS5で8番手タイム、SS6で5番手タイム、SS7で6番手タイムに低迷する。なんとかこの日の最終ステージとなるSS8のスーパーSSで3番手タイムをマークするものの、クラス8番手でデイ1を終えることとなった。
Photo明けた9日のデイ2でも苦戦を強いられ、SS9で9番手タイム、SS10で6番手タイムと厳しいラリーが続く。さらにSS11ではパンクを喫し、11番手タイムに低迷……。その後もSS11、SS13、SS14で9番手タイムに留まるものの、上位陣の脱落に助けられ、ふたつポジションを伸ばした6番手でデイ2をフィニッシュした。

こうして新型インプレッサの熟成不足で厳しいラリーを強いられた新井は、翌10日のデイ3でもオープニングステージのSS15で10番手タイムに低迷する。続くSS16で3番手タイムをマークするものの、SS17で8番手タイム、SS19で7番手タイム、SS20で5番手タイムとペースが伸び悩む。が、最後まで前日のポジションをキープし、最終的にはクラス6位でフィニッシュ。スカンジナビアンが得意とする北欧のラウンドで貴重な3ポイントを獲得するほか、スバル勢の上位3台に贈られる「スバルPWRCアワード」を受賞している。
その他のENDLESSユーザー/ユホ・ハンニネン
Photo今季のスウェディッシュ・ラリーには日本人ドライバーの新井のほか、フィンランドのユホ・ハンニネン(三菱ランサー・エボリューション9)やヤリ・ケトマー(スバル・インプレッサWRX STI-GDB型)、さらにスウェーデンのパトリック・フローデン(スバル・インプレッサWRX STI-GDB型)、オスカー・スベドルンド(スバル・インプレッサWRX STI-GRB型)など数多くのENDLESSユーザーがエントリー。
Photoそのなかで最も素晴らしいパフォーマンスを披露したのが、参戦2年目のハンニネンだ。ケトマー、フォローディン、そしてプジョー207S2000を駆るパトリック・サンデルと序盤から激しいバトルを展開。デイ2でトップに浮上すると最後までコンスタントな走りでポジションをキープし、参戦2年目にして初優勝を獲得している。
ENDLESS製品情報
Photoプロダクションカーの世界選手権、PWRCは3日間で約300kmのステージを舞台とする過酷なシリーズ。そのシチュエーションは極寒のスノー戦、スウェディッシュから灼熱のラフグラベル戦、アクロポリス、さらに高速グラベルのフィンランドなど豊富なバリエーションだ。そのため、ブレーキパーツのサプライヤー、ENDLESSではこの過酷なシリーズに対応すべく、サポートユーザーと共同でパッドを開発。マシン、ドライバーに合わせた専用モデルを投入している。

例えば日本人ドライバーの新井が使用する「ARAI motorsport with ENDLESS」は、その名のとおり、アライ・モータースポーツと共同で開発した専用スペックで、新井のドライビングに合わせて材質を変更。一方、ヤリ・ケトマーが使用する「Tommi Makinen Racing wtit ENDLESS」は、その名のとおり、トミ・マキネンが開発を担当した専用モデルだ。これらのブレーキパッドに合わせて、各ユーザーはF1やWRCでも採用されているブレーキフールド「RF-650」を採用。その信頼性は高く、新井も「日本のサプライヤーのなかでは世界で通用する唯一のブランドじゃないかなぁ」とその感想を語っている。

なお、新井が使用する「ARAI motorsport with ENDLESS」はアライ・モータースポーツで販売中。国際ラリーに参戦するプライベーターも同パッドを使用できるようになっている。
新井敏弘/プロフィール
Photo1966年12月25日、群馬県出身。学生時代からラリーをはじめ、92年に全日本選手権のタイトル(Bクラス)を獲得。97年に同シリーズで2度目のタイトルを獲得するほか、パリダカールラリーにも参戦し、翌98年よりWRCに参戦している。それ以降もWRCを主体に活躍し、02年からはPWRCにエントリー。05年にタイトルを獲得するほか、06年はTOSHI ARAIのエントリー名でスーパー耐久シリーズにも参戦。 07年にはPWRCで2度目のタイトルを獲得した。実力、実積ともに世界を代表するドライバーで「トシ」の相性で親しまれている。
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